大谷は三回1死一塁で、バント安打を決める
大谷は三回1死一塁で、バント安打を決める

■投手陣はナンバーワン

 救援陣の奮闘も忘れてはいけない。この試合では五回に大谷が2点を失い、2点差に迫られて2死一、三塁のピンチで伊藤大海(いとうひろみ・日本ハム、25)が登板。4番のブレット・サリバン(パドレス、29)を153キロの直球で遊飛に仕留める好救援で役割を果たした。

「侍ジャパンの大きな強みは投手陣です。先発、救援陣と総合的なクオリティーで考えれば、大会ナンバーワンでしょう。投手陣に不安を抱える米国より上だと思います。短期決戦はいかに失点を防ぐかが勝負のカギを握る。優勝候補に挙げられながら、苦戦している他国の戦いぶりを見れば明らかです」(スポーツ紙デスク)

 前回大会の覇者・米国は1次リーグで苦しんだ。2勝1敗で迎えた4戦目のコロンビア戦で3-2と辛勝。大谷の同僚で主軸を担うマイク・トラウト(エンゼルス、31)が3安打3打点の活躍でチームを救い、C組2位で準々決勝に進出した。

 ベネズエラ、ドミニカ共和国、プエルトリコと強豪国がひしめくD組も番狂わせがあった。第3回大会優勝国のドミニカ共和国が姿を消した。マニー・マチャド(パドレス、30)ら強打者をそろえて「米国を超えるタレント軍団」と称されたが、勝ったチームが準々決勝に進出する4戦目のプエルトリコ戦で2-5で敗れた。

 一方、侍ジャパンは大谷、ダルビッシュ、山本由伸(オリックス、24)、佐々木朗希(ロッテ、21)と質の高い先発陣をそろえ、先発の後を継ぐ「第2先発」も今永昇太(DeNA、29)、宮城大弥(オリックス、21)、高橋宏斗中日、20)、戸郷翔征(巨人、22)、高橋奎二(たかはしけいじ・ヤクルト、25)といずれも能力が高い。

 1次リーグ2戦目の韓国戦では、ダルビッシュが三回に先制2ランを浴びるなど3失点。侍ジャパン打線が直後に4得点を奪ったが、まだ試合の主導権をつかみ切れたわけではない。ここで流れを引き寄せたのが今永の快投だった。四回から登板すると、五回2死二、三塁のピンチでパク・ビョンホ(36)を右飛に仕留めるなど、3回1失点の好投で韓国打線の勢いを断ち切った。結果的には13-4と圧勝したが、勝負所を締めた今永の貢献度は大きい。(ライター・今川秀悟)

AERA 2023年3月27日号より抜粋