世界に誇る「掃除教育」の精神が、夫婦の家事分担にも生かされますように(GettyImages)
世界に誇る「掃除教育」の精神が、夫婦の家事分担にも生かされますように(GettyImages)

 そんな世界の模範たる日本人ですが、夫婦の家事育児の分担時間を見ると、世界でも飛び抜けて女性に偏っているのはどういうわけでしょうか。女性の有償労働時間と無償労働時間の合計はOECD加盟国で最も多く、総務省の調査でも6歳未満の子どもを持つ夫婦では女性の方が男性よりも4時間38分も長く家事をしており、15年前からほぼ変わっていません。男性たちが小学校の頃から身につけた誇り高い行動様式は、家庭内では発揮されていないようなのです。実に不可解ですね。

 家事は、人目に触れない場所で繰り返される終わりのない営みです。総務省の調査では、2016年以降は男性の30%以上が家事をするようになっているという変化も表れています。家事育児が「当たり前の習慣」として全ての人に根付きますように。そうなった時に本当に世界に誇れる「お掃除教育」の成果と言えるのではないでしょうか。

◎小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『幸せな結婚』(新潮社)。寄付サイト「ひとりじゃないよPJ」呼びかけ人。

AERA 2022年12月5日号

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小島慶子

小島慶子

小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『幸せな結婚』(新潮社)。共著『足をどかしてくれませんか。』が発売中

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