(AERA2022年8月29日号より)
(AERA2022年8月29日号より)

■あんた生理中だろ?

 一方、電話という旧来型の非対面コミュニケーションも、カスハラを誘発する側面があるようだ。保険会社で働く東京都の30代女性の話。

「健康上の理由などで審査が通らず、新規契約をお断りしなければならないことがあります。最初は書面で通知しますが、納得がいかないお客さまから電話が入るんですね。契約不可になった本当の理由は開示できないため『当社基準により……』など穏便に説明するのですが、はっきりしない答え方なので相手は不機嫌に。『上の人間を出せ!』『あんた、生理中だろ?』などと罵られたことも」

 まさに暴言の典型だが、ここには書けないひどい言葉も浴びた。そのときは「今のお言葉は脅迫です。この会話は録音されており、警察とも連携しています」と対応した。

 コールセンターの中でも、金銭の損得が絡むものは厄介だ。証券会社の顧客電話対応をする神奈川県の30代女性は言う。

「相場の急落により、信用取引で追い証(追加の証拠金を差し入れる)が必要となった方から『今は手元にないから、数日だけ待ってくれ』と懇願されましたが、ルールなので応じられません。すると罵声を浴びます」

 逆に、自分自身がコールセンターへの問い合わせでカスハラをしてしまった、と告白する50代女性もいた。

「仕事で使っていたパソコンソフトの不具合で問い合わせました。対応は丁寧ですが、要領を得ない回答に終始し、問題は一向に解決しないんです」

■オペレーターに逆ギレ

 オペレーターは「確認させていただきます」「誠にありがとうございます」「さようでございましたか」の3点セットを連発するばかりで、具体的な回答がない。「このような状況ということで、よろしかったでしょうか?」といった奇妙な敬語遣いにも感情を逆撫でされた。

「マニュアル上の社交辞令はもういいから、どのアプリケーションを起動させればソフトが正常に作動するのかを教えてくださいと逆ギレしました」

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