これが初出の気もするが、念のため雑誌も見ておこう。雑誌資料を調べられる大宅文庫を訪れた。調べた限り、一番早くハンカチ王子の文字が登場するのは、8月31日号の「週刊文春」。発売日がずれていなければ、8月24日の発売になる。そのあと発売の「週刊朝日」「AERA」「週刊新潮」もそれぞれハンカチ王子を見出しに取り、特集していた。特に8月29日に発売された「週刊朝日」(9月8日号)は、9ページを割き「ハンカチ王子特集」を組むだけでなく、ハンカチで汗をぬぐう斎藤を表紙にするという力の入れようだった。

 どれも8月18日より前の掲載は見つからなかったが、「AERA」の9月4日号を読んでいたとき、気になる一文を見つけた。斎藤と知り合いの女性が、「ハンカチ、ハンカチってミクシィで話題になってるよ」と、斎藤本人に携帯サイトでミクシィの「斎藤君」のコミュニティーを見せた、とあるのだ。

■久々にミクシィにログイン

 ミクシィ! 盲点だった。女子高生が使っていたというのは、このサイトの中でかもしれない。さっそくミクシィを訪れ、久々にログインしてみた。まだ入れる! しかし「斎藤君」というコミュニティーは検索しても見つからない。試しに「ハンカチ王子」でコミュニティーを検索してみる。すると、2006年1月21日に「ハンカチ王子、佑ちゃん」というコミュニティーが開設されているのを見つけた。ハンカチ王子の人気からはだいぶ前ではあるが、もしかして・・・。しかし、コミュニティーの説明に斎藤佑樹や甲子園の文字はまったくなく、カテゴリーも「スポーツ」ではない。内容は承認制のため見ることができないのだが、これは斎藤のことではない可能性が高そうだ。

 他に調べると、8月22日に「ハンカチ王子・甲子園2006」「♥ハンカチ王子♥」「*♥*ハンカチ王子*♥*」が開設していた。ただ、「ハンカチ王子」の言葉そのものを誰が最初に使ったのかは探し出すことができなかった。

■名付け親は2ちゃんねるのスレ主か

2021年10月、引退会見で、ハンカチで汗をぬぐうポーズをする日本ハム・斎藤佑樹/代表撮影
2021年10月、引退会見で、ハンカチで汗をぬぐうポーズをする日本ハム・斎藤佑樹/代表撮影

 結論として、私が調べた限り、「ハンカチ王子」の名付け親は8月18日に2ちゃんねるのスレッドを立てた人物ということになる。そこから広がり、「スポーツ報知」を筆頭に、テレビや雑誌なども取り上げたことで、さらに広く知れ渡ることになったというのが、現状の見立てだ。

 2ちゃんねるのスレッドを立てた人が「ハンカチ王子」という言葉を作ったのか、はたまた女子高生などが言っていたのを見たり聞いたりして使ったのか。もしよかったら話を聞いてみたい。

(編集部 大川恵実)

AERAオンライン限定記事