2006年夏の第88回全国選手権大会決勝で、試合中にハンカチで汗をぬぐう早稲田実の斎藤佑樹(左)。右は捕手の白川英聖/朝日新聞社
2006年夏の第88回全国選手権大会決勝で、試合中にハンカチで汗をぬぐう早稲田実の斎藤佑樹(左)。右は捕手の白川英聖/朝日新聞社

「ねえ、『ハンカチ王子』って一番最初に言った人って分かる?」

【写真】引退会見でも見せた! ハンカチ王子がニッコリ笑顔

 懇意にしているスポーツジャーナリストから、そう尋ねられた。

 説明するまでもないが、「ハンカチ王子」とは、2021年に現役引退した北海道日本ハムファイターズの元投手・斎藤佑樹(34)の愛称。斎藤を取材したときに、斎藤自身が「ハンカチ王子」の名付け親を知りたがっていると聞いたそうだ。

■きれいにたたまれたハンカチ

 06年、夏の甲子園。エース斎藤を擁する早稲田実業と、田中将大(現・楽天ゴールデンイーグルス)擁する駒大苫小牧が決勝まで勝ち上がった。8月20日に行われた決勝は1―1のまま延長15回までもつれこみ、引き分け再試合となった。翌21日、4―3で早稲田実業が競り勝ち初優勝。

2006年夏の第88回全国高校野球選手権大会決勝で、優勝を決め喜ぶ斎藤佑樹投手(手前)ら早稲田実の選手たち/朝日新聞社
2006年夏の第88回全国高校野球選手権大会決勝で、優勝を決め喜ぶ斎藤佑樹投手(手前)ら早稲田実の選手たち/朝日新聞社

 斎藤と田中、2人の超高校級ピッチャーが投げ合う試合に日本中が固唾(かたず)をのんだ。NHKでは瞬間最高視聴率37・1%(関東地区)をたたき出し、斎藤が試合中にきれいにたたまれた青いハンカチをポケットから取り出し、汗を拭く姿が大きな話題になった。いつのまにか斎藤は日本中で「ハンカチ王子」と呼ばれていた。

 この「ハンカチ王子」はいったい誰が名付けたのか。斎藤が引退後にテレビ番組「1億人の大質問!? 笑ってコラえて!」(日テレ系)に出演した際にも、斎藤は「ハンカチ王子と付けてくれた人に感謝、見つけたい」と話したようである。勝手ながら調べてみることにした。

■まずはグーグル検索

 とりあえずグーグルで検索する。「ハンカチ王子」「命名」で検索をかけると、「ハンカチ王子の名付け親って誰?」と質問している掲示板がヒットした。回答を見ると、「女子高生が言ってるのをマスコミが参考にしたとテレビ番組が紹介していた」という説と、「2ちゃんねるが発祥である」という説がある、とのこと。そしてその2ちゃんねるの該当掲示板のリンクまで貼ってある。

 あっさりと答えが出そうになり、少し悔しくなる。そもそも2ちゃんねるだと、命名した人が誰か分からない。このリンクをクリックする前に、何かできないだろうか。とはいえ、テレビ番組を調べようにも、しがない雑誌編集者ではその術がない。だが紙のメディアならなんとかなる。まずは夏の甲子園(全国高校野球選手権大会)の主催者でもある朝日新聞を調べてみることにした。

次のページ
国会図書館に行ってマイクロフィルムを