■一般紙では8月22日朝刊から

 記事を検索すると、8月22日の朝刊に「ハンカチ」の文字が見つかった。斎藤に初優勝の心境を尋ねたときに「いつもマウンドで手にする水色のハンカチを口に当て、すぐには話せなかった」ということと、同日夕刊で、「有名になった青いハンカチについて斎藤投手は『親にもらいました』と話した」と書かれている。ただハンカチに言及はしているが、「ハンカチ王子」は使っていない。「ハンカチ王子」が初めて記事に使われるのは、8月25日の朝刊。ハンカチの販売元が「『ハンカチ王子』効果に期待を寄せている」という記事の締めの一文だ。

 一般紙で一番早く「ハンカチ王子」を使っているのは、東京新聞の「筆洗」というコラムだった。「誰が名付けたか“ハンカチ王子”。」という一文から始まる。8月22日の朝刊。一般紙が名付け親ではなさそうだ。

■スポーツ紙では8月20日に登場

 では、スポーツ新聞はどうだろう。国会図書館に行き、決勝戦の前後を中心に、「デイリースポーツ」や「日刊スポーツ」「東京中日スポーツ」など、主要なスポーツ新聞のマイクロフィルムを見ていく。

 8月20日の「スポーツ報知」に「ハンカチ王子」の文字が躍るのを見つけた。

「『ハンカチ王子』出現でタオルブーム到来!?」の見出しで、愛媛・今治市のタオル美術館に取材し、タオルブームに期待を寄せる声を取り上げている。記事を読んでいくと、「インターネット掲示板『2ちゃんねる』には、プリンス顔の右腕に対し『ハンカチ王子』なる呼称が登場」と書いてあるではないか。

■2ちゃんねるではさらに早く

 やはり2ちゃんねる発祥なのか……。観念して、掲示板にあった2ちゃんねるのリンク先をクリックしてみる。8月18日に「【ハンカチ王子】早実VS鹿児島工【吠える今吉】」というスレッドが立っていた。両校の準決勝の前日に立ったスレッドだ。これまで調べた中では、一番早い「ハンカチ王子」の登場だ。掲示板の書き込みをざっと見ていくと「ハンカチ王子って(笑)」とか「ハンケチ王子?」など、ハンカチ王子という言葉に食いつきながらも、初めてこの言葉を聞くような雰囲気なのだ。

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当時、斎藤も確認したというミクシィのコミュニティーは……