決断の理由を胸を張って言えるリーダーに 大阪府四條畷市長・東修平

<現代の肖像>

現代の肖像

2022/04/09 18:00

職員に顔色をうかがわれたくないからと、同じ表情を心がける。感情的にならないよう気持ちを「整えている」という(写真=楠本 涼)
職員に顔色をうかがわれたくないからと、同じ表情を心がける。感情的にならないよう気持ちを「整えている」という(写真=楠本 涼)

 大阪府四條畷市長、東修平。2017年、東修平は28歳で大阪府の四條畷市長となる。全国最年少、無名の新人が現職の市長を破っての当選だった。大学で原子力の研究をしていたが、東日本大震災の際に、行政に的確な指示を出す人間がいることの重要性を感じ、官僚になった。地方から日本を良くしていきたい。その思いから、反発も覚悟の上で公平を徹底し、「市民のため」を貫く。

【写真】市長室のデスクに向かう姿から自宅でのプライベートな姿まで、東修平氏の写真をもっと見る

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 新型コロナウイルスで私たちが思い知ったのは、自治体間の“差”ではなかったか。それはつまり首長のリーダーシップの差でもあった。メディアではキャッチフレーズを連発し、国に噛み付く首長が注目されるが、その一方で先の見えない中でも国の法制度の中で柔軟に考え、選択肢を用意し、独自の対策を実行に移していた首長は何人もいた。

 大阪府四條畷(しじょうなわて)市長の東修平(あずましゅうへい)(33)もその一人だ。四條畷市では昨年8月から市民は500円でいつでもPCR検査を受けられる体制を整え、1回目の緊急事態宣言時には児童扶養手当対象世帯に市独自で5万円を給付するなど対策を次々と打った。

 昨年の衆院選後に浮上した18歳以下の子ども1人に10万円を給付する案は当初、給付の時期や一括か分割か、クーポンか現金かと政府内でも迷走した。四條畷市ではあらゆるパターンを想定し準備を進め、11月下旬に始まった議会では「現金一括」が可能になっても対応できる「幅のある」予算案を通していた。結果、全国約1700自治体の中で最速で給付を完了した。

 あらゆるケースを想定すると事務作業は膨大になるが、東は担当職員から、早く現金で欲しいという住民の切実な声を聞いていた。一方で様々なルートを駆使して、政府方針と違う形になっても、国庫支出金が支払われないなどのペナルティーはないだろうと読んだ。

「多少リスクがあっても、首長判断でいけると。担当課は最後まで諦めずに準備してくれました」

 東は2017年1月、28歳で全国最年少の市長となった。政治家になるのに必要と言われる地盤、看板(知名度)、カバン(お金)のどれもなし。相手は長年地元で市議も務めてきた、大阪維新の会が支援する現職市長だった。かたや東は四條畷出身とはいえ地元では無名。手伝った選挙プランナーの松田馨も当初「100回やって1回勝てるか」と予想し、「まずは市議から」と勧めた。

「しかし東さんは政治家としてステップアップするつもりはなく、行政のトップとして地元の課題を解決したい意思が固かった」(松田)

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