(AERA 2022年1月24日号より)
(AERA 2022年1月24日号より)

柳沢:そしてぜひやってもらいたいのは子どもを褒めること。点数に対してではなく、その子が以前と比べてどう進歩したかを具体的に褒めてあげるんです。

佐藤:「この前は5問しか解けなかったけど、今回は同じ時間で10問も解けたね。すごいね」みたいな褒め方がいいですよね。やはり子どものことをよく見てあげることが大事。

柳沢:あとね、子どもにとってしゃべることは最大の復習なんですよ。どうやって問題を解いたのかを論理的にしゃべろうとすると、すごく脳を使うから。

(AERA 2022年1月24日号より)
(AERA 2022年1月24日号より)

■12歳までに計算の訓練

佐藤:算数を日常のものと結び付けてあげることも効果的です。「重さ50グラム」とか「1キログラム」って言われても子どもはあまりピンとこない。でも、砂糖だとこのくらいだよと言うとすっと覚えられる。

柳沢:私は小さい頃、体が弱くて寝てばかりいたんですが、小学校に入る前には九九を知っていたんです。なぜかというと、天井に縦九つ、横八つのラインがあって、そのマス目を毎日数えていたから。ただ、8×9までしかなかったから、小学校の九九の授業で「9の段があったのか!」と驚きました(笑)。

佐藤:私は「算数が楽しい」と思えるかどうかの究極のところは、1桁の足し算が瞬時にできるかどうかだと思っています。それが勝負の分かれ目。算数が苦手な子は、そこに行き当たることが多い。私は4人の子どもを育てて、12歳までの計算の訓練が大事だなと痛感しました。

柳沢:そこを重視するのがアジアの教育の特徴です。例えばアメリカの小学校では、九九を強制的に覚えさせることはしない。

佐藤:確かにアメリカの教育に詳しい方と話をすると、「九九なんて全部覚えなくても、3の段か4の段ぐらいまで覚えておけばどんな計算でもできる」って言いますよね。そうかもしれないけど、便利なんだから9の段まで覚えればよくない?って思っちゃうんですけど。

柳沢:覚えることは頭の無駄遣いだと考えられているんです。

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