佐藤ママの長女が高2のときに使っていた数学のノート。文章問題1問を解くのに丸々1ページをあてている(撮影/門間新弥)
佐藤ママの長女が高2のときに使っていた数学のノート。文章問題1問を解くのに丸々1ページをあてている(撮影/門間新弥)

 算数・数学に苦手意識を持たせず、楽しめる子を育てるにはどうすればいいのか。子ども3男1女が東大理IIIに合格した“佐藤ママ”こと佐藤亮子さんと開成中学・高校前校長の柳沢幸雄さん(現在は北鎌倉女子学園中学・高校の学園長)。教育界のカリスマ2人が語り合った。「理系を育てる」特集したAERA 2022年1月24日号から。

【図版】佐藤ママが伝授!「算数・数学を好きになる5か条」はこちら

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──算数・数学の力を伸ばすために、親としては何を心掛けたらいいでしょうか?

佐藤:まずは小1のスタートダッシュをきちんとすること。理想は小学校に入る6歳までに1桁の計算ができるようにしておいたほうがいいです。「4足す7は?」と聞いて反射的に答えられるくらいに。あと、うちの子たちにはずっと「ノートを広々と使いなさい」と言ってきました。計算問題であれば1ページにつき3題、文章問題であれば1ページにつき1題。そうすれば問題の下の広いスペースを使ってゆっくり考えることができます。

■「検算しやすい」と説明

柳沢:手を動かして紙に落とすのはすごく大事ですね。人間って頭の中で考えているだけではわからないから。開成の入試でも部分点を重要視していて、いわば解答用紙の余白に書いてあることを好意的に見るわけです。なぜ書くことが必要なのかと疑問を持つ子には「検算しやすいから」という実利的な説明をするとやる気が出ると思います。

佐藤:それから、学校にすべてをお任せするのではなく、親が教科書と宿題をもっと見てあげてほしい。教科書がわかりにくいがために勉強についていけないケースもあると思います。

柳沢:もしつまずいてしまったら、2学年前の問題集のなるべく薄いものを買って解いてみるといい。どこで自分がつまずいたのか確かめることができます。

佐藤:同感ですね。そうやって勉強し直すときは、問題集の最後のページまで早くたどり着くことがやる気を保つコツです。例えば偶数の問題だけを解くとか、10問飛ばしでやるとかして、とにかく全体を何回も繰り返す。そうすることで、理解するというよりも見慣れるんです。

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