グローバルダイニングの長谷川耕造社長(写真/写真部・高橋奈緒)
グローバルダイニングの長谷川耕造社長(写真/写真部・高橋奈緒)

 民主主義が健全に機能するには、少なくとも二大政党が競い合う必要があります。政権交代をしなければ権力は腐敗します。民主党政権だったころの評判はいまだに悪いですが、それでも自民党とは異なる政治の流れを生みました。自民党が野党に転落し、健康を取り戻すことができたのも成果の一つです。しかし、自民党が政権を奪回し長期政権が続くと、たるんできてスキャンダルが相次ぎました。米国のような二大政党間の対立軸がないとこうなります。

 菅義偉首相は官房長官時代の切れ味は鋭かった。しかし、トップに立つのは得意じゃなかったのでしょう。大きな流れを見て方向転換したり、発信の仕方を変えたりできなかった。良く言えば実直、悪く言えば柔軟性が足りなかったと思います。

 国民の幸福のために新首相にぜひ取り組んでもらいたいのは、尊厳死法と離婚法の制定です。私の父が体の自由がきかなくなった際、医師から入所を勧められたのをきっかけに、特別養護老人ホームの実態を調べました。人間がどうやって死ぬべきか。そういった議論も政治がリードすべきです。また、両親が離婚した後、一番の被害者は子どもです。子どもの養育費を払わない父親が多いのが実情です。子どもたちを救うためにも、離婚に関する個別の法律が必要だと考えます。

○長谷川耕造(はせがわ・こうぞう) 1950年、神奈川県生まれ。「ラ・ボエム」「モンスーンカフェ」など都内を中心に複数の飲食店を展開する

(構成/編集部・渡辺豪)

※AERA 2021年10月4号

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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