通勤や出張は運動になっていた──。コロナ禍でテレワークが続き、1日の歩数を見てギョッとする。フレイルなんて高齢者だけだと思っていたのに、今や自分ごと。フレイル予備軍にならないためにはどうしたらいいか調べた。「若年フレイル」を特集したAERA 2021年2月15日号から。
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フレイルにつながる生活習慣を自己チェックする方法がある。東京大学高齢社会総合研究機構・未来ビジョン研究センターの飯島勝矢教授の研究グループが考案した「指輪っかテスト」と「イレブンチェック」だ。
いずれも千葉県柏市で高齢者約2千人を対象にした調査結果などを基に開発された高齢者向けの自己チェックだが、フレイル「予備軍」ともいえる30~50代の「現役世代にも応用は可能」と飯島教授は言う。
「自己チェックの主眼は生活習慣の点検です。65歳未満の現役世代も今の生活習慣を続けていいのか判断する目安になります。未来の自分の姿を想像し、そこから逆算して今の年齢のうちに何をしなければならないのか考えてもらいたい」
「指輪っかテスト」は両手の親指と人さし指で輪を作り、ふくらはぎの筋肉量をチェックすることで、サルコペニア(筋肉減弱)のリスクを測る。ふくらはぎの厚みは、筋肉と皮下脂肪と骨で決まる。皮下脂肪が比較的つきにくいふくらはぎは、筋肉量の増減を把握するのに適した部位なのだ。
■兆候を確認して自覚
測るときは椅子に座って前かがみになり、ひざが90度になる状態でふくらはぎの一番太い部分を囲む。指の輪よりも足が細くて「隙間ができる」人は要注意だ。筋肉量が減り、筋力が低下している恐れがある。柏市の追跡調査では、「隙間ができる」と答えた人のグループは、「囲めない」と答えたグループの人より、サルコペニアの率は6.6倍、死亡率は3.2倍とそれぞれ高かったという。
「フレイルを進行させる要素の基盤が筋肉の衰えです。指輪っかテストでサルコペニアの兆候が確認できれば、働き盛りの世代もフレイル予備軍になりかかっている、と自覚しておくべきでしょう」(飯島教授)
適度な運動をせずに、しかも極端な食事制限でダイエットをしている若い女性もサルコペニアのリスクは高いという。
「特に10代は筋肉や骨、脳の認知機能も含めて成長する大事な時期です。この年頃にしっかり栄養を取り、筋肉と骨を含めた体づくりをしておかないと、女性の場合は閉経後の50歳前後からガタガタと体調の不備が出やすくなります」(同)