米国では、ワクチン接種後15分程度はその場で体調に変化が起きないか様子をみることになっている。ショックのほとんどは接種後15分以内に起きているので、起きても発作を抑える薬を打つなど対応できるという。

 東京大学医科学研究所の石井健教授はこう説明する。

「新型コロナウイルスのワクチンは、打った部分が腫れる、接種後に発熱するといった副反応もインフルエンザワクチンよりも強く出る。体の免疫がより強く反応しているからで、ワクチンの効果がより高い証しでもある」

 石井教授は、アナフィラキシーショックを起こした経験のないアトピーなどのアレルギー患者は、接種後30分ほど観察が必要になるが、ワクチンの接種は可能だという。

「今後、接種を受ける人数が増えれば想定外の副反応が起きるかもしれないので、接種は慎重に進める必要があるものの、ワクチンを必要以上に怖がるべきではない。新型コロナウイルス感染症はインフルエンザよりも致死率の高いことや、自分の重症化リスクを踏まえ、接種のリスクとベネフィットを冷静に判断して決めてほしい」

(科学ジャーナリスト・大岩ゆり)

AERA 2021年1月25日号より抜粋