ファイザー社のワクチンは欧米やシンガポールなどで緊急使用の承認を受け、接種が進む。WHOが昨年末に緊急使用を認めたため、途上国でも接種が広がると予想される。モデルナ社のワクチンは米国や欧州、イスラエルなどで承認され、一部の国で接種が始まった。アストラゼネカ社のものも昨年末から英国やインド、メキシコなどで承認され、接種が始まりつつある。

 これら以外に中国のシノバック社とシノファーム社がそれぞれ開発したワクチン、ロシアのガマレヤ研究所と国防省の開発したワクチンの接種も行われている。中国もロシアも、治験終了前に医療従事者らへの接種を始めた。米国に次いで2番目に感染者の多いインドも今月、自国企業バーラト・バイオテック社の開発したワクチンを、治験の結果を待たず承認した。

 日本が輸入するうち2種類は、「RNAワクチン」で、新型コロナウイルスの遺伝情報の一部と同じ遺伝情報を持つRNAでできている。もう1種類は、無毒化したアデノウイルスに、新型コロナの遺伝情報の一部と同じ遺伝情報を持つDNAを組み込んだものだ。

 ワクチンの効果は、企業によると、ファイザー社とモデルナ社のものはどちらも約95%、アストラゼネカ社のものは接種量によって62~90%で平均すると約70%だったという。

 RNAワクチンはこれまで接種されたことがない。アデノウイルスを使ったワクチンもほとんど使われたことがない。このため、懸念されるのは副反応だ。

 ファイザー社やモデルナ社のワクチンの接種が始まった英米では、接種直後に、生命に関わることもあるアレルギー反応「アナフィラキシーショック」を起こした人が報告された。

 米疾病対策センター(CDC)によると、1月6日現在、米国内でワクチンを打った29人が、ショックを起こした。100万人当たり約11人の頻度で、インフルエンザの不活化ワクチンの発生頻度より10倍近く高いという。ただし、CDCのワクチン責任者は6日の会見で、「頻度が相対的に高くても、(絶対数でみれば)非常にまれな出来事。想定の範囲内の副反応で、対処法もある。ワクチン接種のメリットの方が大きい」と強調した。

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