AERA 2020年7月6日号より(illustration/石山好宏)
AERA 2020年7月6日号より(illustration/石山好宏)
(左から)ナビタスクリニック理事長 久住英二さん:新潟大学医学部卒。内科医で感染症やワクチンに詳しい。専門は血液内科、旅行医学、予防接種/京都大学ウイルス・再生医科学研究所准教授 宮沢孝幸さん/東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程修了。ウイルスゼロを求め過剰自粛を強いることに異議を唱える
(左から)ナビタスクリニック理事長 久住英二さん:新潟大学医学部卒。内科医で感染症やワクチンに詳しい。専門は血液内科、旅行医学、予防接種/京都大学ウイルス・再生医科学研究所准教授 宮沢孝幸さん/東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程修了。ウイルスゼロを求め過剰自粛を強いることに異議を唱える

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、マスク着用もはや当たり前になった。常につけねばならないのか、どんなときならはずしていいのか。ナビタスクリニック理事長の久住英二さん、京都大学ウイルス・再生医科学研究所准教授の宮沢孝幸さんが解説する。AERA2020年7月6日号から。

【図】マスク生活で陥りがち!気を付けたい12項目はこちら!

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Q1:マスクを外したくても周囲の目が怖くて外せない

久住:屋外で2メートル以上人と離れていれば外してOK.熱中症のほうが怖い

 マスクは近くにいる人に唾液の飛沫(ひまつ)がかからないようにするのが主な目的です。2メートル以上離れている時にマスクをするのは、他人を不安にさせないという「エチケット」以外に、科学的な合理性はありません。

 屋外をひとりで黙って歩く時、自転車に乗る時などは、他人に飛沫がかかる可能性はないので、外して構いません。ジョギング中のマスクも人が少ない時間帯・場所であればしなくていい。通気性の良いマスクや、バンダナ風の息苦しくならないタイプもありますが、通気性が良いほど飛沫が飛ぶのを防ぐ効果は低いので、つけていてもあまり意味がありません。

 マスクから鼻を出している人がいますが、息苦しかったり気分が悪かったりする時は、迷わず外しましょう。着用するなら口も鼻も覆って隙間がないようにしないと意味がありません。

 マスクをせずに黙っている人と、マスクをして他人を大声で非難する人では、後者の方がよほど危険です。マスクを外してよい時があることを皆さんが理解しないと、コロナ感染防止どころか、熱中症で多くの人命を危険にさらすことになります。

Q2:短時間しか使ってないマスクは、再利用してます

久住:不織布は×。布は洗って

 使い捨ての不織布マスクは、短時間しか使っていなくても再利用はダメ。布マスクは手洗いでも洗濯機でも必ず洗うこと。洗剤はなんでもいいし、漂白剤を使わなくても構いません。

 電車でつけていたマスクを、外を歩く時に外し、オフィスに入る時にまたつけるという人もいるでしょうが、同じマスクをつけ外しするのはあまりお勧めしません。マスクは自分の飛沫を飛ばさないのが主目的ですが、わずかながらウイルスが口や鼻に入るのを防ぐ効果もあります。その点で言えば、ウイルスがついているかもしれないマスクの表面を触った手でまたマスクをつけるのは避けた方がいい。マスクは以前より入手しやすくなっているので、一度外したら新しいものに換えるのがベストです。

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小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

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