致死率は年齢が上がるにつれて高まり、50代で1.3%、60代で3.6%、70代で8%、80歳以上で14.8%にのぼった。持病を抱える人で致死率が高く、心血管病では10.5%、糖尿病で7.3%、慢性の呼吸器病で6.3%、高血圧で6%だった。これまでにも指摘されていた、「高齢者、または持病を抱える人でリスクが高い」という傾向がはっきりしてきた。

 これらのデータはまだ確定ではない。世界保健機関(WHO)と中国の共同チームは24日、「全国の致死率は3~4%で、武漢以外では0.7%」と発表しており、今後も変わる可能性がある。また22日の段階で、2万人近くが感染から回復しているという。

 新型コロナウイルスの病原性について多くの専門家は、2002~03年に流行し、致死率が9.6%にのぼった重症急性呼吸器症候群(SARS)よりは「低い」と見ている。

 しかし、武漢市の病院に入院し重篤となった患者52人について分析したチームは、「28日間で61.5%にあたる32人が死亡した」と報告。「SARSの際にカナダで報告された同様のケースの43%よりも高い」と指摘している。

 たとえ大部分の人は軽症でも、重症になった場合は深刻な結果を招きやすいようだ。抗HIV薬などの投与が試みられているが、実際の有効性はまだはっきりしていない。長崎大の迎(むかえ)寛教授(呼吸器内科)は「少なくとも現段階では、重症化した人への治療は難しい」と話す。国内でも27日現在、感染が確認されたうち8人が死亡している。

 新型コロナウイルスは、SARSに比べて感染力が高いともいわれる。

 広東省の患者らを分析したチームは、症状のない人の鼻やのどの分泌物からもウイルスの陽性反応があったと報告した。こうしたことが背景となって、無症状の人や、ごく軽い症状の人からの感染につながっている可能性がある。

 高い感染力のため、ウイルスが広がり続けていくのを抑える手はないようにも見える。しかし、結論を出すにはまだ早い。

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