イラスト:石山好宏
イラスト:石山好宏
AERA 2020年3月2日号より
AERA 2020年3月2日号より

 子どもの写真は、SNSでも人気の高いコンテンツだ。悩みや喜びを共有することは、育児中の親にとって大きな励みになる。だが何げなく投稿した写真が、子どもを危険に陥れることも知っておくべきだ。AERA 2020年3月2日号では、SNSに子どもの写真を投稿することのリスクを取り上げた。

【SNSにアップするときに 子供のため注意することは?】

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 ごはんを食べながら寝落ちしている姿、新しい服を着てご機嫌な様子、節分や入園式などのイベント。関東に住む20代の女性は、子どもの写真をツイッターに投稿していた。

 タイムラインには同じく子育て中の友人の投稿が並び、「いいね」をつけあうのが楽しかった。だがあるとき、見知らぬアカウントにフォローされていることに気が付いた。

 相手のツイート数はゼロ。育児アカウントでもなさそうだ。なのに「お気に入り」欄に表示されたのは子どもの写真ばかり。おむつ姿のものも多い。「性的な目的で眺めているのかもしれない」。気味が悪くなりアカウントを削除した。女性は言う。

「娘の顔がわかる写真も掲載していた。娘に申し訳ないという罪悪感が残っています」

 セキュリティーソフトウェア開発会社のアバストが2019年に公表したデジタルリテラシー調査によると、20代女性の8割がモザイクなしでSNSに子どもの写真を投稿したことがあるという。

 何げない子どもの写真も、不特定多数の人が閲覧できるSNS上では、さまざまな目的で消費され、悪用される危険がある。ITジャーナリストの高橋暁子さんはこう指摘する。

「普通の人にとってはかわいい子どもの写真でも、小児性愛者には性的なコンテンツとして捉えられることもあります」

 ハッシュタグにも注意が必要だ。たとえば「#トイレトレーニング」。検索すれば、おまるにまたがった子どもの写真がずらりと並ぶ。“トイトレ”に奮闘する親同士がつながって、我が子の成長を分かち合う。だが、それを性的な目線で眺める人もいる。

 スタンプなどで子どもの顔を隠している投稿もあるが、子どもの顔がわかるものも少なくない。顔立ちがはっきりする前とはいえ、個人が特定されるリスクはある。「#パパとお風呂」などのハッシュタグにも、同様の危険があるという。

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福井しほ

福井しほ

大阪生まれ、大阪育ち。

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