そんな赤江だが、テレビ朝日着任直後、「1週間、毎日違うルートで家に帰ってくれ」と命じられ戸惑ったという。前任者の週刊誌報道があってのことだが、実際マンションのインターホンに謎の女性が接触をしてきた。翌日、「何だったんでしょうね」と鳥越に話したら、「それは週刊誌の記者だよ」と言われ、「そんな扱い、大阪では全くなかったですから、えーーってなりました」。

 ABCでは「タレントではなく、社員」と繰り返し教育された。だから、「そうか、東京では、女性アナウンサーはタレントさんの枠に近い感じなんだ」と思ったという。

 3年近く経ち、赤江は番組を離れて大阪に戻る。社風があまりに違い、戻りたくなったそうだ。どんな違いかと尋ねると、戻って半年後に「サンデープロジェクト」の司会をした話になった。

 土曜日にABCで情報番組「おはよう朝日です」に出演、打ち合わせ後に東京へ。その足でテレビ朝日に行き、田原総一朗率いる「サンデープロジェクト」の打ち合わせ。翌日、本番。「他愛もない会議」から「大学の講義」。「ひらがなの議事録」から「漢字の議事録」。「笑いがとれたらオッケーなところがある」ABCと「やはり真面目で堅い」テレビ朝日のギャップに、頭がパニックになりそうだったと振り返る。が、それだけではなかった。(文中敬称略)

(文/矢部万紀子

※記事の続きは「AERA 2020年3月2日号」でご覧いただけます。

著者プロフィールを見る
矢部万紀子

矢部万紀子

矢部万紀子(やべまきこ)/1961年三重県生まれ/横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』『美智子さまという奇跡』『雅子さまの笑顔』。

矢部万紀子の記事一覧はこちら