結婚式を挙げた東京・赤坂の日枝神社で。夫は「『何で仕事しないの』」と言うタイプの人」で、ラジオ復帰の背中を押してくれた(撮影/今村拓馬)
結婚式を挙げた東京・赤坂の日枝神社で。夫は「『何で仕事しないの』」と言うタイプの人」で、ラジオ復帰の背中を押してくれた(撮影/今村拓馬)

 そのラジオを聞き始めたのは、とても面白い知り合いの女性が、とても面白いと言っていたからだ。3年経って気づいたのだが、聞いていてイラッとしたことが、ただの一度もない。それって、すごいことだと思う。明るくて、まっすぐで、自分を偽らない。そういう人だから今日も又、私は「たまちゃん」のラジオを聞くのである。AERA 2020年3月2日号に掲載された「現代の肖像」から一部紹介する。

 2019年12月10日午前11時過ぎ、地下鉄赤坂駅の改札口を出ると、すごいことになっていた。赤坂サカスへ通じる広い階段いっぱいに人、サカスの敷地も人、人、人。白髪の男性、ベビーカーのお母さん……老若男女であふれていた。

 その頃、TBSラジオの一角は、慌ただしく動いていた。窓から見える長蛇の列。足りなくなることが、確実だった。「たまむすびすごろく」、2千枚しか用意していなかった。って、何?

 月曜から木曜まで赤江珠緒(45)がパーソナリティーを務めるラジオ番組「たまむすび」のすごろくだ。12年4月2日にスタートした同番組は、この日が2千回目の放送。記念に、楽しく歴史を振り返る「たまむすびすごろく」を作った。放送2千回当日の正午から無料で配ります、記念のクリアファイルも売るので、よかったら買ってください。そう番組で告知したところ、最終的に約3500人もの人が集まった。

 なぜこれほど人気なのか。という話の前に、まずは「赤江珠緒の基礎知識」から。

 ラジオよりテレビの赤江を知っている。そういう方も多いだろう。テレビ朝日系の朝のワイドショーの司会を、赤江は通算11年務めている。

 スタートは03年6月、番組名は「スーパーモーニング」だった。テレビ朝日の女性アナウンサーがスキャンダルで急遽降板、大阪・朝日放送(ABC)の社員だった赤江に白羽の矢が立った。同番組のメインコメンテーター・鳥越俊太郎とABCの番組で司会をし、テレビ朝日プロデューサーの目に留まった。抜擢の理由は、「スキャンダルに無縁そう」。関係者の多くがそう語っている。

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矢部万紀子

矢部万紀子

矢部万紀子(やべまきこ)/1961年三重県生まれ/横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』『美智子さまという奇跡』『雅子さまの笑顔』。

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