撮影/写真部・片山菜緒子
撮影/写真部・片山菜緒子
※図版は桑島医師への取材を元に編集部で作成(AERA 2019年12月23日号より)
※図版は桑島医師への取材を元に編集部で作成(AERA 2019年12月23日号より)
※図版は桑島医師への取材を元に編集部で作成(AERA 2019年12月23日号より)
※図版は桑島医師への取材を元に編集部で作成(AERA 2019年12月23日号より)

 職場のストレスが高血圧の原因でも、元を断つのは難しい。だが、血圧の「高値安定」は日々の工夫で解消できる。AERA 2019年12月23日号では、高血圧対策を紹介する。

【イラスト】こんな姿勢してませんか?血圧は姿勢によっても変化する

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 高血圧の原因が、過重労働や相性の悪い上司にあるとわかっても、異動や転職が叶う人は少ないだろう。職場ですぐに実行できる血圧対策は「姿勢」だ。

 実は血圧と姿勢には深い関係がある。渡辺尚彦医師の実験によると、「立つ」「椅子に座る」「正座する」「しゃがむ(蹲踞=そんきょ)」「横になる」の中で、最も血圧の高かったのが「しゃがむ」、次に高いのが「立つ」、一番低いのが「横になる」だった。

 しゃがんだ姿勢では足が体重で圧迫されて血液の流れが悪くなる。また、血液は上から下には流れやすいが、下から上には流れにくいため、立ち姿勢は血行が悪くなりがちだ。

 椅子に座っているときは血圧は低めだが、背など姿勢が悪いと内臓が圧迫されて呼吸が浅くなり、血圧が上がる。

 一方、横になっているときは、筋肉を使わず末梢血管も開いた状態なので、血圧は上がりにくい。脳梗塞や脳出血が起きた場合、その場で横になったほうがいいとされるのはこのためだ。

 もちろん、高血圧だからといってずっと寝ているわけにはいかない。同様に、正しい姿勢でも座りっぱなしはよくない。2012年、WHO(世界保健機関)が座りすぎは高血圧の他、肥満や糖尿病、心筋梗塞、脳梗塞、がんなどを誘発すると警告したことは、記憶に新しい。大切なのは、同じ姿勢を長時間続けないことだ。

 仕事中はときどき休憩を取り、深呼吸や軽い体操やストレッチなどで血流をよくしたい。ふくらはぎのマッサージなども、効果がある。さらに渡辺医師がすすめるのが、「昼休みに20分ほどの散歩」だ。

「昼休みにはなるべく外に出て、紫外線を浴びてください。体内のビタミンDが活性化し、血管が緩んで血行が良くなります。高血圧の人にとって、太陽の光は『自然の降圧薬』なんです」(渡辺医師)

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小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

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