運動をした直後は一時的に血圧が上昇することが多いが、長い目で見れば血圧を下げてくれる。運動する時間がとれない人は、エレベーターやエスカレーターではなく、階段を使うのが効果的だ。ただし、医師から高血圧を指摘されている人は、階段を駆け上がることでさらに血圧を上昇させ、かえって危険なこともある。上り階段はゆっくりと。つらい場合は下りだけでも十分だ。スポーツをする場合は、人と勝敗を競うものは血圧を上昇させるので、避けたほうがいい。おすすめはウォーキング。もっとも手軽にはじめられる有酸素運動だ。

 人形町メンタルクリニック院長の勝久寿医師はメンタルヘルスの観点から、「いつもと違う道」を歩くことをすすめる。ストレスがかかっている人は、いつもストレスの要因について考えてしまう。それを回避するために、有効なのだという。

「よく知っている道だと、つい考え事をしながら歩いてしまう。知らない道を歩くことで、考えを外に向けることができます」(勝医師)

 体を締めつける服装も、血行を悪くする。高血圧で意識を失った人が病院に運び込まれると、医師はまず襟元をゆるめる。これだけでも血圧が下がり、命を救うことがある。日常生活においても、ネクタイやきついベルトや指輪、腕時計は避けたほうがいい。企業や職種によっては難しいかもしれないが、休憩中や残業中だけでもネクタイをゆるめ、リラックスしたい。

 排便時はいきむために血圧が上昇する。また、排尿や排便を我慢するとおなかが圧迫されるために血圧が上がるが、出したあとは一気に血圧が下がる。

「飲み会の後、トイレを我慢していたら血圧が175mmHgまで上がり、すっきりしてから測り直したら、125mmHgまで下がっていたことがあります」(渡辺医師)

 排尿後、急に血圧が下がると意識を失い、倒れてけがをすることもある。血圧の乱高下を避けるためにも、トイレの我慢は禁物だ。また、立ち姿勢は血圧を上昇させる上、排尿の際には腹圧もかかる。高血圧の男性は、尿はね問題のみならず、健康のためにも座ってすることをおすすめしたい。

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