このうち舌下免疫療法は、スギ花粉が飛んでいない時期に始めることが必須。できれば11月に、遅くとも12月中には抗原エキスの服用を始める必要がある。

 舌下免疫療法は、スギ花粉から抽出した「抗原」を毎日少しずつ体内に取り込むことで、「花粉は悪者ではない」と認識する体質へ徐々に変換させ、くしゃみや鼻水などの「防御反応」が起きないようにする治療法だ。2014年から健康保険の適用対象になった。副作用もなく、近所の開業医で気軽に処方してもらえる。

 12月からの服用開始でも、翌春の効き目が確認されている。きっと効くと期待して春を待ちたいが、根治には2年以上かかるとされる。また、治療の効果が出ない人も全体の3~4割いるとされ、長期間服用を続けても根治に至らず再発するケースもあるのが難点だ。昨年、一昨年に舌下免疫療法を始めたものの、効き目を実感できなかった人は、どう判断すればいいのか。

「累積の抗原量が十分ではない可能性があり、2、3年続けないと効果の有無の判断は困難です。そうした場合、別の治療法を加えるか、投薬とセットで治療していく方法もあります。そうした治療方針を医師と相談して今のうちに決めておくべきでしょう」(大久保教授)

 レーザー治療は12~1月上旬に施術を受けておく必要がある。

 レーザーで焼いた粘膜は、やけどのあとのような状態に変化し、アレルギー反応を起こしにくくなる。しかし施術後、2週間ぐらい経つまでは粘膜が荒れた状態にあるため、その時期に花粉を吸いこむと症状が悪化しかねない。このため、遅くとも花粉が本格的に飛び始める2週間前の「1月上旬」が施術のタイムリミットになる。大久保教授は「レーザー照射は通常1回で済みますが、効果が十分でない場合、施術が2回必要な患者さんもおられます。このため、12月中に受けておくのが無難でしょう」とアドバイスする。

 12月よりも前に治療を受けても、花粉が飛散する肝心の時期に効果を得られない。レーザー治療は、施術後3~4カ月で粘膜が元の状態に戻ってしまうためだ。もう一つ注意したいのは、鼻水が出ている状態では治療を受けられないこと。12月はインフルエンザや風邪が流行する時期でもある。鼻水が治まらないとレーザーで患部を照射できなくなるため、12月に入る前から体調を整え、鼻水が出ていないタイミングで治療する必要がある。

次のページ