保護者から見ると、先生が有効な手を打てないでいると、「学校は何もしてくれない」と。ネット上で起こる出来事は、学校も家庭も門外漢と思ってる。「違う装置」が駆動しない限りは、話し合いが平行線を辿ることになります。

 いくつかの自治体では、教育委員会が主体となり、児童・生徒をめぐるトラブルに対する相談機能を強化し始めました。私が勤めていた和田中がある杉並区でも、教育委員会の中に対策チームを新設し、取り組みを始めています。メンバーは、区内の元校長たち。年配の人はネットのことなんてわからない。けれど、書いてあることを消せる人や、消される前の情報を手繰れる人といった「ホワイトハッカー」みたいな人材やネット犯罪に詳しい専門家、警察に応援を頼むわけです。ネット上でひとたび何かが起こると、この対策チームが学校に飛んでいきます。「この案件はチームで引き取ります」と。

 時代によりいじめの内容が書き換わっているのだから、対策の方法も、組織もアップデートする。そんな時代だと思います。

(構成/ノンフィクションライター・古川雅子)

AERA 2018年12月6日号より抜粋