時代に合わない規則、忙しすぎて子どもに向き合えない先生、自分の子どもの教育に熱心になるあまりに周りが見えない親……。「学校が不自由だ」という声が数多く寄せられた。いまこそ学校現場の改革が必要だ。
【アンケートを見る】学校が不自由と感じる先生の割合が衝撃的な数字に!
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昼どきの小学校は誰もいないのかと思うくらい静かだった。授業参観のため学校を訪れた女性(45)は、当時1年生だった娘の教室の後ろ扉をそーっと開けた。すると、目にとびこんできたのは、全員が前を向いて黙々と給食を食べる姿。
私語は一切なし。楽しいはずの食事の時間がなにかの訓練の場のように見えた。参観に来ていたほかのママ友たちとアイコンタクトで外に出て、首を傾げた。女性は言う。
「『黙食』と呼ばれる指導なんです。子どもたちがしゃべりながら食べると時間がかかるかららしいです。娘は入学したばかりのころ、給食の時間が怖いと泣いたこともありました」
娘は食べることが好きで、おいしければ「おいしいね」と言わずにいられないし、初めての食べ物を見たら「これ何?」と聞かずにはいられない。でもそうすると、先生にシーッと注意されてしまうのだ。
アエラでは「学校を不自由にしているものは何?」と題したアンケートを11月に実施した。この問題への関心は高く、インターネットなどを通じて2週間で、親や先生682人から回答が集まった。「子どもたちにとって、学校が不自由だと感じますか」との問いでは、「非常に感じる」(56.2%)と「感じる」(37.1%)が合わせて9割以上に上った。
「不自由」の正体はいったい何なのか。
アンケートでは「体感温度は人それぞれだが、制服の冬服・夏服の期間を指定される」「体育は一年中半袖短パンという決まり」「下着の色にまで干渉する」など、服装を始めとする学校生活の細部にわたって自由がないという声も目立った。
小学生の子どもをもつ保育士の女性(43)は、こうした校則に無念さがこみあげる。勤める保育園では0歳からの未就学児を預かる。
「寒かったら、自分でもう一枚着ようね」
「汚れたって気が付いたんだね。じゃあ着替えてらっしゃい」
小学校に上がるまでに、自らの状況を判断し自分で行動できるよう指導している。それなのに、小学校に上がった途端「判断してはいけなくなる」とは。
「なんでも一律に決めてしまえば、先生も子どもも考えずにすむので楽かもしれませんが、そこで失われるものは大きいと思います。多様性は大事にされていないのでしょうか」