「今はレースがあなたに味方していないけれども、必ず、その日があなたのもとにくるから」
「スイッチはあなたの手の中にあって、変われる時は一瞬で変われるよ」
私が海外経験で学んだことは、自分を冷静に見つめること。強豪国の選手たちは、自分の得意、不得意なことを本当によく理解しているのです。そしてそれはメディアの人たちも同じ。だから私も含めて、常にそのレース状況とその選手の結果が冷静に判断されます。だからこそ、不必要に精神的に追い込まれることはないと言えるのだと思います。
もちろん慰めも含まれているでしょう。ただ、私も自分自身を客観的に見て、そしてライバルの状況も同じく冷静に見て、声をかける。そうすることでレースの勝敗の可能性を見極められ、何より互いにリスペクトを持ちながら滑れるのです。皆さんも連日テレビで流れている競技を観ながら、選手たちのそんな気持ちを想像して楽しんでもらうのもいいかもしれません。
(構成/西川結城)
※AERA 2018年2月26日号