だって誰かがトクするってことは、誰かが損するわけですよね。つまりはおトクにあずからない一般利用者がその負担をかぶるわけです。で、その一般利用者って、ITに疎い中高年(私を含む)だったりするんじゃないでしょうか。昭和のオバサンは、特定の人に大盤振る舞いする余裕があるなら、通信料を一律に下げて誰にでも平等なサービスをしてくれよと思うのです。

 でもそれは、今やこの競争社会ではお笑いぐさの概念なんですかね。時代についていけない私には何が正しいのかはわからない。でもこれから老後を生き抜かねばならぬ身として、結果的に老人が食い物にされかねない世界に無力でいたくないのです。まずは勇気を出して縁切りを果たした自分を自分で褒めておく。千里の道も一歩から。

AERA 2018年1月22日号

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稲垣えみ子

稲垣えみ子

稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。超節電生活。近著2冊『アフロえみ子の四季の食卓』(マガジンハウス)、『人生はどこでもドア リヨンの14日間』(東洋経済新報社)を刊行

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