稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年、愛知県生まれ。元朝日新聞記者。著書に『魂の退社』(東洋経済新報社)など。電気代月150円生活がもたらした革命を記した魂の新刊『寂しい生活』(同)も刊行
稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年、愛知県生まれ。元朝日新聞記者。著書に『魂の退社』(東洋経済新報社)など。電気代月150円生活がもたらした革命を記した魂の新刊『寂しい生活』(同)も刊行
なんだかんだ言いましたが世話になった「先代」iPhone。ひび割れが苦闘の日々を物語る(写真:本人提供)
なんだかんだ言いましたが世話になった「先代」iPhone。ひび割れが苦闘の日々を物語る(写真:本人提供)

 元朝日新聞記者でアフロヘア-がトレードマークの稲垣えみ子さんが「AERA」で連載する「アフロ画報」をお届けします。50歳を過ぎ、思い切って早期退職。新たな生活へと飛び出した日々に起こる出来事から、人とのふれあい、思い出などをつづります。

【稲垣えみ子さんの「先代」スマホはこちら】

*  *  *

 ついに、ついに携帯電話を格安スマホに乗り換えました! いや普通の方から見れば何を大げさなとおっしゃるでしょうが、自他共に認めるIT音痴の私。友人の助言を頼りに、世界一苦手な場所(携帯ショップ)へ足を踏み入れることなく自力で乗り換えに成功した時は、思わず感激の涙が出たよ。月々の料金は大幅減。プランもシンプル。通信容量も増。いいことだらけ……かどうかはまだ不明ですが、何より「大切なもの」を取り戻した気分なのです。

 そうなんだよ。問題は料金が高いとかってことだけじゃない。何が苦痛だったって、これまでずっと「納得のいくお金を払って納得のいくサービスを得られているかどうか」が全然わからなかったってことなんだよ。

 もちろん以前も、お店で「おトクなプラン」を勧められ契約したのです。でもこれがパックになっていて、不要なサービスがどんどこついてくる。いらないと言っても「パックなのでそのほうがおトク」と言われる。で、その後も絶えずメールが来て、今なら一律××円キャッシュバックだの、なんとかプレゼントだの、終わりなき「おトク」情報が死ぬほどやってくる。

 それが本当に嫌だった。そもそも「おトク」って何?

著者プロフィールを見る
稲垣えみ子

稲垣えみ子

稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。超節電生活。近著2冊『アフロえみ子の四季の食卓』(マガジンハウス)、『人生はどこでもドア リヨンの14日間』(東洋経済新報社)を刊行

稲垣えみ子の記事一覧はこちら
次のページ