注目すべきは演技構成点だ。ショートは映画「SAYURI」のテーマ、フリーは「蝶々夫人」の世界観を見事に表現し、どちらも演技構成点で全体の3位。滑りそのものの実力を世界3位と認められたことになる。

「しっかりノーミスしたらどこまで行けるか楽しみ。あとはジャンプを重点的に仕上げます」

 と話し、宮原自身も手応えをつかんでいる。

 一方の樋口は、9月の国際大会で今季の日本女子最高点となる217.63点をマーク。ロシア杯3位、中国杯2位で、GPファイナルに初出場した。

 GPファイナルでは躍動感あふれる「ジプシーダンス」でショート73.26。首位まで3.78という好位置につけた。しかし、

「世界トップを相手にさすがに緊張した」

 と樋口。フリーではアグレッシブなスケーティングが影を潜め、3回転ジャンプが2回転になるミスも2度重なって、202.11。6位に沈んだ。

「この悔しさを生かして、全日本選手権では、思い切って自分らしい演技をします」

 何よりの光明は、二つミスをしても総合で200点台を出せたこと。ジャンプで安定して1~2の加点をもらったこと。演技構成点がすべて8点以上だったこと。世界の「トップ選手」と認められた結果だろう。

 2人とも、パーフェクトに演じれば五輪のメダル候補。全日本では、スケートアメリカ2位の坂本花織(17)、グランプリ2戦とも4位の三原舞依(18)、勝負強さのある本田真凜(16)らとどんな戦いを見せるのか。(ライター・野口美恵)

AERA 2017年12月25日号