仕事の影響も大きかったですね。NHKの「キッチンが走る!」っていう番組で一流の料理人の方とご一緒して、料理に興味が湧いたし、奥さんの仕事ぶりも理解できるようになった。

 3人の子育てをしてきた実感ですが、父親って、2歳半までは出る幕がないんですよね。だからその間は育児以外のところで手伝うようにしてました。2歳半を過ぎるとどんどんアクティブになるので、そこからが本領発揮。子どもたちには物心つく前からウルトラマンを見せてあるし、カッコイイ父親でいたいから、体も鍛え続けてます。

 それでも、いわゆる倦怠期はありました。結婚3年目ぐらいだったかな。フラリーマンにもなりかけましたよ。仕事から帰っても家のドアを開けるのがいやで、車の中で時間をつぶしたり。一緒にいても目も合わせない。これじゃだめだ!と彼女と話し合いました。もう一度、結婚したころのことを思い出そうよってことで、とにかくハグすることにしたんです。お出かけのキスも忘れずに。「いまさら照れくさいなんて言うのは許さん!」って。

 形から入るって、大事なんですよ。続けているうちに、笑顔が増えた。いいことも悪いことも、話し合えるようになった。この習慣は今も続いてますし、子どもも喜んで、ハグやキスの輪に入ってきます。

 我が家では、子どもたちに金銭的な財産を残すつもりがまったくなくて。妻は生活費の残りを子ども名義の預金口座に蓄えてくれてるらしいですが、それで十分。あとはしっかり生きていける人間に育ってくれれば。

 子育てを卒業したら、二人で全国を旅したいと思ってるんです。ロケなどで各地へ行くことも多いんですが、将来の旅のロケハンだと思ってます(笑)。(構成/ライター・浅野裕見子)

AERA 2017年12月4日号