赤ちゃんは目が合うと、しげしげとこちらを見つめてくれます。ママやパパもうれしくて、より積極的に視線を合わせたくなりますね。山口教授はこれを、赤ちゃんが親として成長するきっかけを与えてくれる行為だと考えています。

「視線を合わせることは、コミュニケーションの土台。スマホ片手に赤ちゃんのお世話をして横顔ばかり見せるのではなく、真正面から向きあってコミュニケーションすることが大切です」

 最新の赤ちゃん研究では、赤ちゃんの見える色や好きな形などもわかってきました。そこには、絵本やおもちゃ選びのヒントが詰まっています。

●認識できる色が増え目の前には豊かな世界

 赤ちゃんは生まれたときから色が見えていますが、明るさの違いを見分けるほうが得意です。やがて、色を認識する力が発達し、生後2カ月頃には赤と緑、生後4カ月頃には青と黄色の違いがしっかりわかるようになっていきます。

 これまでは、言葉を覚えた段階で違いを区別すると考えられてきましたが、山口教授らの研究で、言葉を覚える前の生後5~7カ月の乳児が色を見分けていることがわかりました。

 根拠とされるのは、脳の色を認識する働きがある部分の血流が増えて、脳活動が高まったこと。

 山口教授は言います。

「言葉を知る前の赤ちゃんにも、豊かな世界が広がっているのです」

 赤ちゃんに見えやすい、「好きな色」ベスト5を山口教授に挙げてもらうと、1位から青、赤、紫、オレンジ、黄色。どれもはっきりした、大人にはちょっとキツく感じるような色ですね。形や模様も、ギザギザ、とげとげ、しましま、ぐるぐる、といった特徴的なものを好みます。

 赤ちゃんへのプレゼントには、優しい、淡い色合いのものを選びがちですが、これだと見えていない可能性もあります。欧米のおもちゃのようにカラフルなものがいいですね。

 色と同様に、立体の認識もぐんぐん発達します。最初は平面の世界しか見えていませんが、生後7、8カ月の頃には、立体を認識したり、質感がわかるようになったりします。山口教授らの研究では、7、8カ月の月齢の赤ちゃんは、金色を特別な色と認識し、好むこともわかっています。(編集部/深澤友紀)

※『AERA with Baby スペシャル保存版 早期教育、いつから始めますか?』より