他人事ではないマンション管理問題 建物と住人の「2つの老い」と「無関心」 (1/4) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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他人事ではないマンション管理問題 建物と住人の「2つの老い」と「無関心」

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野村昌二AERA
首都圏にある限界マンション。マンションがスラム化すると、不利益を被るのはそこに住む住民だけでなく、周辺の治安にも悪影響が及ぶ恐れがある(撮影/堀内慶太郎)

首都圏にある限界マンション。マンションがスラム化すると、不利益を被るのはそこに住む住民だけでなく、周辺の治安にも悪影響が及ぶ恐れがある(撮影/堀内慶太郎)

轟音とともに廊下が崩れ落ちた沖縄県浦添市のマンション。管理組合が機能していれば、崩壊は免れたかもしれない(撮影/編集部・常冨浩太郎)

轟音とともに廊下が崩れ落ちた沖縄県浦添市のマンション。管理組合が機能していれば、崩壊は免れたかもしれない(撮影/編集部・常冨浩太郎)

 日本にマンションが誕生して60年以上。今も年に10万戸ずつ増えている。たが一方で、建物と居住者の「二つの老い」や運営管理への無関心などにより、荒廃するマンションが急増している。AERA 5月29日号では「限界マンション」を大特集。何が起きているのか。防ぐ方法はあるのか。

*  *  *
 近所でも有名な「お化けマンション」で知られていた。

 横浜中華街に近く、最寄り駅から徒歩4分にある9階建ての分譲マンション。住環境も整った一等地にあるが、廊下や階段の共用部は「ごみ置き場」と化していた。使わなくなったベッドマットや炊飯器、イス、靴などが無造作に置かれたまま。廊下の電気が消えているフロアもある。エントランスには、住民の自転車が放置されていた。

 完成当初からマンションの一室に暮らす女性(80代)は、不安を隠せない。

「ひびが入って今にもコンクリートがボロボロ落ちてきそうなところがいっぱいあるんです」

●管理組合は形骸化

 年季が入った外壁にはあちこちにひび割れが走り、ベランダにはさびが目立つ。避難用のはしごも、さびて崩れかかっている。そして、数年前まで廊下の電気はすべて消え「お化けマンション」のように見えたという。

 このマンションは高度経済成長期の1973年にできた。元々この土地のオーナーとの「等価交換」によって建てられ、最上階の全室をオーナーが所有し、自主管理という形を取って、自ら理事長になった。管理組合はあったが形骸化し管理規約もなかった。計画的な修繕すら満足にできず、法令で年2回の点検が義務づけられている消防点検も行った記録がないという。

 住民の無関心や他人任せも問題だった。さらに、後からわかったことだが、自主管理を担当していて6年ほど前に亡くなった当時の理事長が、管理費を使い込んでいて、残高はゼロ。慌てて集めようとしたが、予想外の出費は高齢化した住人には荷が重く、滞納者が増えた。積み立ては進まず、そのうち生活に支障をきたすレベルの不調がマンションのあちこちで起こり始めたのだ。

 しばしば水道が詰まり、水漏れも頻発。配水管の水が逆流し、あふれ出た水がフロア全体に流れ出してエレベーターが止まり、2階まで水浸しになったことも1度や2度ではない。


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