破格の特別待遇を受ける加計学園は、大阪府豊中市の国有地を9割引きで取得した学校法人「森友学園」と奇妙な類似点がある。認可申請を取り下げた「瑞穂の國記念小學院」名誉校長に就任予定だった安倍首相の妻、昭恵氏は、加計学園が神戸市内で運営する認可外保育施設の名誉園長にも就いている。
「加計学園や森友学園の問題の共通点を探るうえでの大きなポイントは『教科書』です」。『日本会議の研究』(扶桑社新書)の著者の菅野完氏はこう指摘する。
加計理事長は、育鵬社の教科書発行の支援団体「教科書改善の会」の賛同者に名を連ねており、グループの岡山理科大学附属中学校は育鵬社の公民と歴史の教科書を採用している。
●教科書で連なる縁
07年に発足した教科書改善の会の正式名称は「改正教育基本法に基づく教科書改善を進める有識者の会」。第1次安倍内閣の下で成立した改正教育基本法に基づく中学校の歴史・公民教科書の出版、普及が目的の団体である。
同じく育鵬社の中学校歴史・公民教科書の編集や採択を支援する一般財団法人「日本教育再生機構」によると、教科書改善の会は「シンポジウムの開催など対外的な活動を担う団体を目指したが、機構とのすみ分けも明確ではなかった」ことから、現在はほぼ活動停止状態という。菅野氏はこう解説する。
「『新しい歴史教科書をつくる会』から分裂した日本教育再生機構は、日本会議が教科書運動を行うためにつくった別動隊です。教科書改善の会と同機構は顔ぶれ、活動内容ともに実態はほぼ同一といえます」
同機構の複数の顧問は日本会議の幹部役員を兼任している。日本会議は育鵬社など保守系教科書の普及拡大に取り組んでいることからも両団体の「類似性」は浮かぶ。
渦中の森友学園の籠池泰典理事長は日本会議大阪の運営委員だ。菅野氏はさらにこう言う。
「日本会議同様、全国に支部がある日本教育再生機構の中で、大阪は大阪維新の会との関係が特に強い組織であるという点で極めて特殊です」