ゼンリン調査員 鳥羽正康さん(39)/入社17年目。調査中は必ずユニホームを着用し、社員証を首から下げている。普段は、都内の事務所で編集の作業もしている(撮影/編集部・野村昌二)
ゼンリン調査員 鳥羽正康さん(39)/入社17年目。調査中は必ずユニホームを着用し、社員証を首から下げている。普段は、都内の事務所で編集の作業もしている(撮影/編集部・野村昌二)

 トランプ米大統領の登場で先が読めなくなってきた国際情勢。だからこそ、見えにくい事実をあぶり出す新しい地図に注目したい。AERA 2月20日号では「地図であぶり出す未来」を大特集。VR(バーチャルリアリティー)やスマホアプリで地図どんどん進化する世界や、ブラタモリなど街歩きブームの極意もルポしている。本誌から、デジタルコンテンツを支えるアナログデータを生み出す、国内最大の地図制作会社「ゼンリン」を紹介する。

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 東京都荒川区の住宅街。2月上旬、ゼンリン(本社・北九州市)の鳥羽正康さん(39)の姿があった。昨年の住宅地図を手に、一軒一軒、歩いて回る。表札やマンション名に変更がないか調べていく。「変更なし」なら地図上に緑色のボールペンで「レ」をつける。修正は赤色だ。

「表示のプレートがいろんな場所に出ているので、見落とさないことが大切です」(鳥羽さん)

 プライバシー保護のため、住人の要望があれば地図から削除することもある。

 国内最大の地図製作会社、ゼンリン。スマホ全盛時代、地図などのデジタルコンテンツを支えるのが、鳥羽さんのような調査員が日本の隅々まで地道に歩いて集めたアナログデータだ。

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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