神主は食べていけない 末端神主たちの神社本庁への嘆き (4/5) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)
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神主は食べていけない 末端神主たちの神社本庁への嘆き

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小川寛大AERA

明治神宮の森に面して立つ神社本庁。神社をイメージした建物は、山手線からも見える(撮影/写真部・小原雄輝)

明治神宮の森に面して立つ神社本庁。神社をイメージした建物は、山手線からも見える(撮影/写真部・小原雄輝)

「私は地域の共同体の核として神社を崇敬し、その維持管理に協力しているだけで、神社本庁の信者ではない。神社が選挙への協力を求めるのは筋が違う」

 また前出の神道政治連盟に関係するある国会議員の秘書は、

「神社のお祭りに顔を出して有権者にあいさつするのは政治家にとっての基本のキ。政治家が神社と対立していいことは何もなく、その流れで神道政治連盟とも交流している。イデオロギー的な意味合いはほとんどない」

 と語る。いずれも「神社と政治」の実態を象徴するような話だろう。天皇・皇室への崇敬なくして神道思想は成り立たない。また神道が事実上の国教の地位にあった戦前を「神道の黄金時代」ととらえ、そこへ回帰したいと考える神主たちは確かに存在する。ただし、それらの思想を軸に神社界が一丸となって大きな政治運動のうねりをつくりだす、などということは難しい。最大の理由は、多くの神主が神社運営一本で食べていける経済的基盤を有していないからだ。神主としての活動に全力投球できず、一部の富裕な神社とは分断されている。神社本庁の思想にのっとった政治活動をしている神主は、上部階層の一部に限られるのだ。

●日本会議との親和性

 近年、神社本庁とともに「安倍政権に影響を与える組織」として注目されているのが「日本会議」だ。日本会議は1997年設立。会員数約3万8千を誇り、「日本最大の保守系市民団体」とされる。憲法改正の必要性や、学校教育現場からの
「自虐史観」の排斥などを主張し、安倍首相の政治思想と極めて親和性の高い団体だと目されている。

 日本会議自体は宗教団体ではないが、その役員に多くの宗教者が名を連ねる。伊勢神宮大宮司・鷹司尚武は顧問、神社本庁総長・田中恆清は副会長、そのほか黒住教教主・黒住宗晴や佛所護念会教団会長・関口慶一、念法眞教燈主・稲山霊芳らが代表委員を務めている。ただ、“幅広い顔ぶれ”は、日本会議が先鋭的な運動体として限界があることも意味している。

 たとえば日本会議の代表委員には、崇教真光教え主・岡田光央、解脱会法主・岡野聖法、大和教団教主・保積秀胤の名前がある。この3教団は、立正佼成会やPL教団などが中心となってつくる新宗教団体の連合体・新日本宗教団体連合会(新宗連)の加盟教団だ。この新宗連は、毎年夏に首相へ靖国神社参拝をしないよう求めたり、集団的自衛権の行使容認に反対したりといった、かなりリベラルな団体。日本会議の主張とは真逆だ。ある新宗連関係者に言わせると、「そこは宗教界の横のお付き合い」という声が返ってきた。


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