東京五輪では、体操団体は現在の1チーム5人から4人への削減が決まっていて、これまで以上にオールラウンダーであることが求められるからだ。白井自身も、

「航平さんの個人総合のインパクトが大きい。追いつきたい」

 と、決意を口にしている。

 内村が現時点で、「次期日本を引っ張る存在」と東京のリーダーを託すのは加藤凌平(22)。

 団体決勝では内村に次ぐ5種目に出場し、ミスのない安定した演技で金メダルに貢献した。内村の評価は「ぶれないメンタルで絶対に失敗しない選手」。2013年の世界選手権個人総合では内村に続く2位。リオの個人総合でも内村とともに表彰台が期待されたが、今回は11位に終わった。

「自分だけあの頃から取り残されたかな」(加藤)

 確実性が要求される団体に標準を合わせすぎて、高難度の技も必要な個人総合ではメダル争いに絡めなかった。東京では、

「ひとつ爆発的に取れる種目が必要」(加藤)

 と、スペシャリストとオールラウンダー両方を目指す覚悟だ。

 監督の水鳥寿思(36)が「団体金だけでなく、その先の個人総合、種目別も目標を持って戦う」と語るように、今以上に強い体操ニッポンが東京の目標。内村の後を追う若手たちが、それぞれ自らの殻を破り、内村を乗り越える。それが、進化を続ける世界の体操界で、4年後に再び一番高い表彰台にのぼるための原動力になる。(編集部・深澤友紀=リオデジャネイロ)

AERA 2016年8月29日号