志位和夫・共産党委員長:選挙協力は、国民的大義を掲げ、どの党にもプラスになるように行ってこそ、自公を倒すことができます。

 いま、岡田さんから共産党と政権を組むのは「キツい」というお話がありました。しかし、野党間で政策的違いがあるというリアルな現実から出発して、どうやって安倍政権を倒すかを考える必要がある。政策的違いは互いに認め、留保する。そして、立憲主義の回復という、個々の政策とは次元の違う、より根本の問題で結束する。この大仕事をやりあげたら、ずるずると続けないで解散・総選挙を行い、国民の審判を受けて、次の進路を決めていく。これが一番現実的で合理的ではないか。

 それから戦争法廃止以外の問題をどうするか。たとえば、民主党との間で、在日米軍基地問題についての考え方は違う。しかし、沖縄県民があれだけ反対している新基地建設をいまのように力ずくで進めていいかといったらね、これはよくないという点で一致するでしょう。

●“人”への支出は正しい

岡田:そこまではね。

志位:そこまでは一致する。私は、いろんな分野でそういう一致点はつくれると思うんです。だから、そうした政策調整をきちんとやれば、国民に対して責任を負った政権運営ができると考えています。

吉田:安倍政権と比べて、民主党は経済政策で決定打に欠けると思われています。

岡田:民主党の考え方は経済成長と分配の両立です。経済成長が必要ないという立場には立っていない。しかし、安倍政権はそれしかない。成長の果実をいかに公正に分配するか、あるいは厳しい状況の人々の生活を底上げするということが、政治の役割だと考えています。

松野頼久・維新の党代表:民主党の議員でない僕が言うのもおかしいと思うんですが、民主党政権が掲げた方向性というのは正しいと思うんです。「コンクリートから人へ」というスローガンには、税金として集めたお金を、どこを出口に財政出動させるかという問題意識があります。現在は人口が増える方向にお金を使わなきゃいけないのに、自民党はいまだに公共事業に使っている。財政支出ないのに、自民党はいまだに公共事業に使っている。財政支出を医療、介護、福祉に振り向けるという方向は正しかった。

●アベノミクスの転換を

岡田:民主党の失敗の原因がどこにあったか。私は、覚悟が足りなかったというふうに思っているんです。最後は党がバラけてしまったんですが、そこもきっちり総括して、同じことはもう二度とありませんということを有権者にわかってもらわなければいけない。私は、民主党が新しい、さらに違う形になっていくなら、総括を含めて過去の失敗を説明する必要があると思います。

※野党3党首が“激論”120分 「安倍政権の暴走を止める」(下)へつづく

AERA  2015年12月7日号