「8月下旬に散布した殺虫剤を嫌った蚊が、より安全な場所に逃げ込んだのではないかと思います。都は感染者が刺された場所から半径75メートルに散布したようですが、十分ではなかった。もっと広範囲に、半径100メートルに散布すべきだった」

荷物に紛れ込み「蚊」が入国

 代々木公園の一帯は、北東方面には明治神宮があり、そのすぐ東側にはJR原宿駅、さらに南側はコンサートなどに使われる渋谷公会堂や渋谷区役所があり、NHK放送センターも近い(なお、NHK職員2人にも感染の疑いがある)。つまり、それだけ活発に人が集まり、各地に動く一帯なのだ。

 そもそも、なぜ代々木公園だったのか。

「たとえば、海外でウイルスに感染した旅行者が帰国後、ジョギングや散歩のために立ち寄ったかもしれない。園内ではイベントが開かれていることも多いので、海外渡航経験のある参加者がウイルスを持ち込んだ可能性もある」(高崎さん)

 確かに、代々木公園では今夏、封鎖の対象外となっている南側エリアで、東南アジアや中南米諸国のイベントが催されていた。現地からの荷物を入れた箱などに蚊が紛れ込むことはありうるのか。

「蚊が1、2日間を生きようとしたら、水が必要です。ただ、7、8時間程度の移動なら、箱の中でも生き残る可能性はあります」(前出の白井さん)

「一昨年と昨年、ヒトスジシマカより感染力が強いネッタイシマカが成田空港で見つかっている。機内のどこかに紛れ込んでいたのでしょう」(高崎さん)

 デングウイルスを持つ蚊が所持品に紛れ込んでいた可能性も、確率は低いとはいえ、完全には否定できないのだ。

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