「まずはやってみろ。妊娠したらその時考えればいい」

 いつ妊娠しても周囲に納得してもらえるよう、早めに成果を上げることを意識し、自分がもし抜けることになっても戦力が落ちないよう後輩の育成にも力を注いだ。管理職として36歳で出産。復帰後の仕事のやり方は人事部と綿密に相談し、以前より小規模な7人のチームのマネジメントをする。子育てが一段落したら、また以前のような大規模な部署も担当したい。

「管理職のほうが時間をコントロールしやすいし、仕事の強弱のポイントがわかり、先読みもできる。今が女性活用の最大の波なので、不安がらずにこのチャンスを利用すればいいと思います」
 矢野さんは自分が30代前半で管理職経験を積ませてもらったように、早く管理職になる女性がもっと増えることも期待する。出産前に仕事の醍醐味を知れば、出産後もモチベーションがわきやすいと感じているからだ。

●このまま会社にい続けるのか

 前出のDさんは新卒で就職した会社で「ひと通りは仕事を経験した」という状態になり、顧客との交渉でも「このへんで」と妥協してしまう自分に気づいた。予算が少ないからこそ、周到な準備や熱意ある提案で顧客に満足してもらわなければならないのに。

「ずっと低空飛行のままエンジンがかからない状態。ここぞという時にアクセルを踏める力がほしい。一度リセットしてこの状況を打破しないと、会社に貢献できないし自分も後悔する」

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