1人×1週間分の非常食(21食)。水は本来6本必要で、食料、飲料水を合わせると、東急ハンズで総額約1万2千円する(撮影/写真部・大嶋千尋)
1人×1週間分の非常食(21食)。水は本来6本必要で、食料、飲料水を合わせると、東急ハンズで総額約1万2千円する(撮影/写真部・大嶋千尋)

 いつ訪れるか分からない災害のために、食料は常に備蓄しておきたいところ。しかし具体的には何を、どれだけ用意すればいいのだろうか。

 東日本大震災当時、仙台市若林区の自宅マンションで被災し、しばらく自宅で過ごした都内在住の料理講師、森田陽子さん(58)は言う。

「被災後は気落ちして食欲も減るので、レトルトのおかゆがあるといい。普段食べ慣れているものや嗜好品も、気持ちが落ち着くのであったほうがいい」

 冷凍庫に多めに保冷剤を備蓄しておくことで、停電後も保冷時間を延ばせるともアドバイス。こうした声を生かそうと、森田さんが所属する、全国規模の料理教室を展開する「ベターホーム協会」では、森田さんを含め被災した11人の講師らの話を基に、普段の食材を使った備蓄案をホームページで提案している。

 例えば「2人で1週間分」の備蓄食材のうち、主食は無洗米1袋(5キロ)、真空パックの餅8個、パスタ類300グラム3袋、素麺やうどんの乾麺300グラム2袋。

 パスタは、ゆでるのに時間がかかるため、水やガス燃料の節約も兼ねて「早ゆでタイプ」を勧める。小麦粉は少量の水と混ぜて、チヂミやすいとんに調理できる。ほかにレトルトのおかゆ2パック、小麦粉小1袋(500グラム)、インスタントラーメン4袋。

 徒歩で遠方まで支援物資を探しに行く必要があるなど、避難生活では運動量が増えるため、「主食は多めに備蓄を」と同協会。

 普段の食材として使いながら、なくなったら補充するやり方で常時、食材を切らさないことがポイントだ。1度にすべての食材を買うのが重労働の場合、毎日一品ずつ買い足すのも一つの方法だろう。

AERA 2013年7月8日号