「小鉢の簡単な肴でかけつけ三杯をキューッとやるいなせな『粋』を信条とし、飲むスタイルを気にするのが東京流で気取って飲む。しかし口ほどにもなく酒は弱く、三本も飲めば寝てしまい、長尺勝負の秋田あたりにはとてもかなわない。江戸っ子は口では勝つが酒では負け、東北人は口は負けるが酒では勝つ」(本書より)



 ちなみに、そんな東京におけるここ数年の居酒屋の傾向は、都心の盛り場を離れた住宅地に、大人を相手にする高水準の酒料理を提供する"郊外型上等居酒屋"が増加してきたことなのだそうです。



「居酒屋や酒場ほどその国の庶民が裸になっている所はなく、そういう意味で間違いなく国の文化」(本書より)だという太田さん。



 それぞれの都道府県を訪れた際には、太田さん一押しの居酒屋に足を踏み入れ、地の肴で杯を傾けながらその空気に身も心もどっぷりと浸ってみれば、土地に息づく文化が垣間見えてくるかもしれません。