“既得権者”“社会のお荷物”──。シニア世代へのバッシングが止まらない。中央大学の山田昌弘教授は「高齢者世代がいなくなる時が本当の危機」だと警告する。

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 少子高齢化が進む日本で、若い世代の社会保障負担が重くなっているのは事実です。ただ、それが極端な世代間対立につながっているわけではありません。若い人は「損をしている」とは思っていても、格差是正を求める大きな運動にはなっていません。日本で問題なのは、世代内の格差がそのまま次世代に引き継がれていることです。貧しい親の子どもは貧しいまま。日本はパラサイト(寄生)社会ですから、経済的に豊かな親の恩恵を受けている子どもも多い。

 東京都立大教授の宮台真司さんが、大学内で男に切りつけられる事件がありました。容疑者とみられる無職の男は死亡しましたが、親が年金保険料を払っていたそうです。成人した子どもの生活費だけでなく保険料まで親が面倒を見ることは、欧米では考えられないことです。

 ただ、これは日本の文化なので、そう簡単には変わりません。だから制度を変える必要があるのですが、日本人は制度が変わるのが嫌なんです。

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