※写真はイメージです (GettyImages)
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 誰でも健康診断で尿検査をしたことはあるだろう。体の異常は尿に表れる。尿検査ほど精密ではないが、毎日の尿の色やニオイにも、体調の変化は反映されている。あなたは自分の尿のチェック、していますか?

【表】尿の色でわかる病気のサインがこちら

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「洋式トイレが普及したせいか、自分の尿を見ないという患者さんが増えています」

 そう嘆くのは、なりた泌尿器科・内科クリニック(千葉県流山市)の成田玲奈院長だ。

「尿には体の不調のサインが隠れていることがあるので、診察時に尿の色やニオイに変化がなかったかと尋ねることがありますが、『見ていないからわかりません』と言われることが増えました」

 最近もこんな例があった。トイレの回数が増え、排尿時に痛みがあると、膀胱(ぼうこう)炎の症状を訴える女性患者に「今朝のおしっこはどうでしたか」と尋ねると、「排尿後は流してしまうから見ていないです」と言われたという。

 洋式トイレの場合、座って排泄した尿はお尻の下にたまり、その状態でレバーをひねれば水が流れる。つまり自分の尿を目にすることなく下水に消えてしまう。

 成田さんは言う。

「自分の尿が見えにくい女性に顕著ですが、尿をチェックしやすい男性用の小便器でも、便器の前に立つと同時に水が流れたりするので、見る機会は減っています。でも、体調を確認するためにも尿の具合をチェックしないのはもったいない」

 では、どんな色の尿なら正常なのか。弘邦医院(東京都江戸川区)の林雅之院長に尋ねると、「薄い黄色と無色透明、どちらが正常だと思いますか?」と聞かれた。

「『無色透明なら不純物が混ざっていないんだから正常でしょ』と考えている患者さんは多いですが、実は正常な尿の色は薄い黄色です。逆に、無色透明の尿が続く場合は糖尿病になっている可能性があり、危険信号です」と林さんは指摘する。

 林さんの説明によると、尿の原料は血液の中にある赤血球に含まれるヘモグロビンと呼ばれるたんぱく質。役目を終えたヘモグロビンは体内で代謝、分解されウロビリノーゲンという物質になる。これが腎臓を経て尿中に排泄される際に酸化して黄色い色素「ウロビリン」となるため、尿の色は薄黄色になる。

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