週刊朝日 2022年11月11日号より
週刊朝日 2022年11月11日号より

「糖尿病になると無色透明の尿が出るのは、尿中の水分量が多くなるからです。糖尿病によって血液中の血糖値が高くなるため、浸透圧で体内の水分が入り込みます。その結果、尿中の水分量が多くなり、薄い黄色から透明になります。糖尿病の人が多尿で水分を欲しがるのもこのためです」

 ただし尿が透明でも、必ずしも糖尿病のサインとは限らない。

「たとえばお酒を飲んだ翌日は、体内のアルコールと一緒に余分な水分も排出されるので尿は薄まります。大量の水を飲んだときも同じ。そうではないのに無色透明な尿が続く場合には、かかりつけの医師に相談したほうがいいでしょう」(林さん)

 逆に、運動して大量の汗をかき脱水症状を起こしている場合などは尿中の水分が少なくなり、濃い黄色の尿が出るという。記者も、真夏の取材で汗だくになって街を歩き回り、水分補給のために立ち寄ったコンビニでトイレを借りたとき、濃い黄色の尿が出てビックリした記憶があるが、それは正常な反応だったとわかり安心した。

 前出の成田さんは、「怖いのはピンク色~赤色、またはオレンジ色~濃い茶色の尿が出たときです」と言う。ピンクや赤色の尿が出る場合は、尿の中に血液が混ざっている可能性があるからだ。

「ひどいときは、ピンクグレープフルーツジュースやトマトジュースのような色になることもあるんです。このとき考えなくてはならないのは腎臓や尿路の異常です。腎炎などで腎臓に異常が生じ、濾過機能が壊れると赤血球が尿に漏れ出して赤い尿になる。また尿路、つまり腎臓~尿管~膀胱~尿道のどこか、男性は前立腺も含みますが、このどこかで出血をきたす病変がある可能性も考えられます。結石や細菌感染、がんなどの場合もあるので、すぐに泌尿器科に相談してください」

■おむつの残尿も確認する習慣を

 茶色っぽい尿も危険な病気の可能性がある。肝臓や胆嚢(たんのう)の異常である。

「尿が茶色くなるのは尿中にビリルビンという物質が多く含まれるからで、肝臓や胆嚢の異常で生じます。麦茶のような色になります。腎臓が悪い場合も尿が褐色になることがあります。また血尿が酸化したときに茶色っぽくなる場合もある。ビタミン剤やサプリメントを飲んだ場合にオレンジ色の尿が出ますが、そうでないのにオレンジ色や茶褐色の尿が出るようなら医師に相談してください」

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