週刊朝日 2022年8月5日号より
週刊朝日 2022年8月5日号より

 先の大江さんは海外資産、とりわけ海外株式に目を向けることの重要性を力説する。

「私は通貨自体を持つ『外貨預金』にはあまり意味がないと思っています。『ドル円』で調べてみると、1985年のプラザ合意で200円台だった相場が100円台半ばになって以来、1ドルはおおむね100円から130~140円のレンジで動いているからです」

 外貨預金の大きな狙いは「為替差益」をとることにあるが、この傾向からは為替差益はせいぜい3~4割程度にしかならないことがわかる。大江さんが続ける。

「これに対して株式のダイナミックさは段違いです。この10年のアメリカのマーケットだけを見ても、アマゾンは株価が19倍にもなりました。アップルは同10倍ですし、ビザは同8倍、ナイキが同7倍です。為替差益よりもはるかに成長性の高い株式が海外にはけっこうあるのです。そうした資産を保有することに大きな意味がある」

 もちろん企業の成長性の恩恵を受けるといっても、個別企業の株式に手を出す必要はない。アメリカなら「S&P500」、先進国なら「MSCIコクサイ・インデックス」など市場全体の値動きに合わせて動く指数に投資するインデックス型の「投資信託」を買えばいい。できれば一度にではなく、何回にも分けて時間も分散させたい。いわゆる「長期・分散・積み立て」、投資の王道の実践だ。

「5年ぐらいかけて、ゆっくり買っていくイメージです。積み立てでもいいし、定期的にチョコチョコ買ってもいい。資産のどれぐらいを海外に振り向けるのかは、どのくらいインフレを恐れるかによって違ってきます。私はものすごく怖いので、自分の資産のかなりの部分を米株に移しました」(塚崎さん)

 大江さんは、初心者の場合は「そろりそろり始める」ことを勧める。

「自分のリスク耐性をしっかり見極めたうえで行うことが大切です。投資初心者は少額から始めるのがいい。損をしても経済的・精神的に耐えられる金額を決めて、その金額の3倍を限度とするようにルールを決めてください。あっという間に価格が3分の1になってしまうことはけっこうありますから」

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