演説中の安倍晋三元首相
演説中の安倍晋三元首相

 安倍晋三元首相が銃撃され、死亡した事件。安倍元首相の治療にあたった奈良県立医科大学付属病院が、8日夕方、会見を開いた。銃弾による傷は、心臓に達していたという。

【写真】銃撃直後の現場の様子

 安倍元首相が撃たれたのは、近鉄大和西大寺駅の北口で参院選の応援演説をしている最中だった。銃弾に倒れた安倍氏は現場から病院へ搬送され、治療を行っていたものの、17時3分に亡くなった。

 安倍元首相の治療にあたった同大付属病院の福島英賢教授によると、安倍元首相の死因は、心臓と、胸部の大血管損傷による失血死だったという。前頸部に2カ所銃創があり、その傷の深さは心臓に達し、心室に穴が開いた状態だったという。

「心臓の傷自体は大きなものがあった」(福島教授)

 さらに、福島教授は「左肩の前部に射出口のようなものがあったそこから1発の弾丸が体外に出たのではないか」と話した。一方で、もう1発の弾丸については、「手術中に体内では見つかっていない」とした。

 容疑者が使用したのは手製の銃とみられており、現場の目撃者によると容疑者は演説中の安倍元首相の背後から近づき、2回発砲したとみられる。また一部始終をとらえた映像からは、一発目の銃声の後、安倍元首相が後ろを振り向くような様子も映っていた。

 病院の会見によると、安倍元首相は12時20分に救急搬送され、その時点では心肺が停止し、重篤な状態だったという。福島教授は「搬送時からかなり厳しい状況が予想された」と話した。総勢20人態勢で、止血や大量の輸血をするなどの処置を施したが、蘇生にはいたらなかった。

奈良県立医科大学付属病院の会見の様子(撮影・唐澤俊介)
奈良県立医科大学付属病院の会見の様子(撮影・唐澤俊介)

「止血がコントロールできた所もあったが、大量に出血しており、すでに血液が凝固する力を失っている状態でした。ある程度大きな血管の止血はできたものの、完全に止血をできたとはいえない状態。残念ながら心拍は再開しませんでした」(福島教授)

 福島教授とともに会見に臨んだ吉川公彦病院長は「病院としては最善を尽くしたが、非常に残念」と話した。(本誌・唐澤俊介)

※週刊朝日オンライン限定記事

著者プロフィールを見る
唐澤俊介

唐澤俊介

1994年、群馬県生まれ。慶應義塾大学法学部卒。朝日新聞盛岡総局、「週刊朝日」を経て、「AERAdot.」編集部に。二児の父。仕事に育児にとせわしく過ごしています。政治、経済、IT(AIなど)、スポーツ、芸能など、雑多に取材しています。写真は妻が作ってくれたゴリラストラップ。

唐澤俊介の記事一覧はこちら
次のページ
【動画】安倍元首相の演説~銃撃~混乱する現場