「神道政治連盟国会議員懇談会」で配られたという冊子(松岡宗嗣さん提供)
「神道政治連盟国会議員懇談会」で配られたという冊子(松岡宗嗣さん提供)

 6月13日、多くの自民党議員が参加する「神道政治連盟国会議員懇談会」の会合で配られた冊子が、波紋を読んでいる。

【写真】実際の冊子の中身がこちら

<夫婦別姓 同性婚 パートナーシップ LGBT ─家族と社会に関わる諸問題─>と題されたこの冊子は、弘前学院大学の教授による講演録とみられる。その内容を見ると、

<同性愛は心の中の問題であり、先天的なものではなく後天的な精神の障害、または依存症です>

<同性愛行為の快感レベルが高くてなかなか抜け出すことができないのは、ギャンブル依存症の人が沢山儲けた時の快感を忘れられず、抜け出せないのと同じなのです>

<同性愛者を擁護する教育をすれば同性愛者は増える>

 などと、同性愛者に対して差別的な見解が述べられていた。

 さらに、締めくくり部分にあたる<おわりに>では、

<性的少数者の性的ライフスタイルが正当化されるべきでないのは、家庭と社会を崩壊させる社会問題となるからです>

 とも記されていた。多様性を尊重することの大切さがうたわれる近年の国際社会の流れとは真逆をいく、驚くべき主張である。

 性的マイノリティに関する情報を発信する一般社団法人「fair」代表理事を務める松岡宗嗣さん(27)は、こう憤る。

「明らかに差別的で、ヘイトスピーチで憎悪をかき立てるような内容です。『神道政治連盟国会議員懇談会』には多くの自民党議員が参加し、安倍晋三元首相が会長を務めている。党内でも影響力が強いと思われる議連でこの資料が共有されたことに、問題の重大さがあると思います。実際、自民党議員の多くが同性婚の実現など性的マイノリティの人権保障に反対しています」

 この問題が大きく注目されるきっかけとなったのは、松岡さんが6月29日にYahoo!ニュースでこの問題を発信したこと。SNSなどでたちまち拡散し、<これが昭和ではなく、令和の今であることに暗澹たる気持ちになります>(作家・演出家の鴻上尚史さんのTwitterより)などと、次々と怒りや驚きの声があがった。

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自民党関係者は選挙戦への影響を心配