冊子より。〈性的少数者の性的ライフスタイルが正当化されるべきでないのは、家庭と社会を崩壊させる社会問題となるからです〉と記されている(松岡宗嗣さん提供)
冊子より。〈性的少数者の性的ライフスタイルが正当化されるべきでないのは、家庭と社会を崩壊させる社会問題となるからです〉と記されている(松岡宗嗣さん提供)

「SNS上の反応の多くは『これはおかしい』というもので、世の中の認識の変化を実感しています。今回の冊子や、差別的な考えを良しとする議員が間違っているんだと考える人が大勢いることは心強いです」(松岡さん)

 神道政治連盟は神社本庁を母体として1969年に設立された政治団体。2000年5月の総選挙前に当時の森喜朗首相が「日本は天皇を中心とする神の国」と発言して自民党が苦境に陥ったが、この発言も「神道政治連盟国会議員懇談会」の席で飛び出したものだ。

 そうした過去の経緯もあり、何人かの自民党議員に聞くと「私は知らない。関与していない」と皆、あわてて関与を否定。党関係者は「この時期にこんな話題が出て、選挙戦に影響がでなければいいが……」と顔を曇らせた。

 今回の一件は、たまたま飛び出した「失言」の類として片づけられない、根深い問題をはらんでいる。

「政治の領域が、シスジェンダー(生まれた時に割り当てられた性別と性自認が一致)・異性愛者の高齢の男性という"同質"な人ばかりに偏っている、という点が問題の一因だと思います。また、私はこの問題に少し関心のある人から、時々『欧米と違って日本は無宗教なのに、なぜいつまでも同性婚が認められないんですか』と聞かれるのですが、今回の冊子が神道政治連盟国会議員懇談会という場で配られていることからもわかるように、日本でも『宗教』に基づく差別によって、マイノリティの人権が侵害され続けている状況があることは認識しなければいけません」(松岡さん)

(本誌・村上新太郎)

※週刊朝日オンライン限定記事