(週刊朝日2022年4月1日号より)
(週刊朝日2022年4月1日号より)

「どこにいてもマイノリティの立場に置かれる。意見を言っても必然的に少数派になるし、『女性』に関する話が出ると、私個人の意見が女性全体の意見として捉えられる可能性が高いので、意見を言いにくい」

 こうした意見は、編集メンバーが日ごろの大学生活で実感していることでもある。編集部の代表を務める曽宮一恵さん(20)は理科II類の所属。理系のクラス約35人のうち、女子は3~4人で、工学部に進んでも男女比は約9対1。「性別が違うと、同性のように気軽に話してもらえないと感じていたので、回答を見て納得しました」と話す。

 22号の制作メンバーのひとり、文科III類の田中妃音(ひめね)さん(19)は「東大女子が居心地の悪さを感じているのは学業だけではありません」と言い、例として学内の女子学生が入れない「お断りサークル」の存在を挙げた。

「東大女子が学内サークルへの入会を断られるケースは、かつてと比べて減ってきています。ただし、運動部のマネジャーを希望しても、実態として他大学の女子学生がマネジャーの大半を占めていて、東大女子はやんわり断られるという話は今も耳にします」

 部活動で「居心地の悪さを感じた」と話すOGもいる。情報番組などでコメンテーターとして活躍する弁護士の三輪記子さん(45)は、東大法学部で陸上部に所属していた。

 今も忘れられない場面がある。

「先輩の家で餃子パーティーのようなイベントがあると、台所に立つのはいつも女子マネジャーや女子部員。女子は常に『サポート役』として見られている感覚がありました」

 アンバランスな男女比から生じる問題について、東大側も静観してきたわけではない。「お断りサークル」については16年3月、当時の副学長名で、学生団体のあり方を見直すよう訴える文書が公表された。ほかにも、自宅から大学に通えない女子学生に家賃を支援したり、女子学生や卒業生の声をまとめた冊子を発行したりしている。

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