古賀茂明氏
古賀茂明氏

 それでも、日本は、米国は戦勝国であるし、超大国だから仕方ないということで、その言いなりになってきた。そのおかげで、生存を維持し、経済的にも何とかウィンウィンの関係を築いてきたと言われている。

 この例にならえば、中国に対しても、大国であることを認めて、無理な注文にも応じながら、全体としてウィンウィンの関係を築くことも可能なのではないか。

 少なくとも、「台湾有事は日本有事」などと短絡的に思い込んで、米中戦争に巻き込まれ、日本を戦場にするようなことは決してあってはならない。 

 だが、米国との関係はそれで持つのだろうか。

 お隣韓国は、米中戦争に巻き込まれまいと、台湾有事の際に韓国が米国を支援するということを絶対に言わない。米中首脳会談では、共同声明に「台湾」という言葉を入れるのに抵抗し、最近も、バイデン大統領が唱える北京五輪外交ボイコットに賛同しない旨いち早く表明した。

 韓国の勇気ある米中両にらみ戦略と日本の米国一辺倒・中国敵視の戦略。どちらが国民の命と暮らしを守ることになるのか。今こそ真剣に考える時だ。

週刊朝日  2022年1月21日号の記事に一部加筆

著者プロフィールを見る
古賀茂明

古賀茂明

古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。近著は『分断と凋落の日本』(日刊現代)など

古賀茂明の記事一覧はこちら