室井佑月・作家
室井佑月・作家

 作家・室井佑月氏は、フェミニズム運動の必要性を説きながらも、その問題点と解決策を説く。

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 12月8日に「フェミニスト労働組合」というデモがあったようだ。呼びかけ人である市民運動家がツイッターで、

「Twitter界隈では3月8日の国際女性デーのたった1日でも休まれたりストライキされるのが嫌な男性たちが大パニックで攻撃してきてる。ストライキはもともと困らせるためにやるものです。だから来年の国際女性デーは男を困らせちゃおう」

 といっていた。来年の3月8日の国際女性デーに重きを置いているのかな。……と、あたしがツッコミを入れたいのはそこではない。

 ストライキとは、労働者が自分の労働条件を守るためにするものだ。男を困らせるためにするものではない。でもってこれを野党の副党首が支持し参加しているのも痛い。

 今回のストライキの告知をしたとき、すでに酷い攻撃を受けてはいるようだ。あたしもまた、物を言ったり書いたりするので、ずいぶんと酷い中傷を受けてきた。そこにはセクハラみたいなものもあった。

 しかし、それでもあたしは思う。すべての男がハラスメントをするわけではない。男を敵視するのではなく、そういうことをする人間、もしくはその言動に文句をいうべきなんじゃないかと。

 あたしは女性を軽視したり、差別したりすることはあってはならないと考える。たとえば、おなじ仕事をしているのに男女で賃金格差があったり、平等であるべき試験で男性だけに下駄(げた)を履かせたり、なんてことはあってはならない。

 ジェンダー平等な社会が良いと思う。一人一人の個性は認められなくてはならないし、社会においての権利は平等でなければならない。

 しかし、世の中がそうではないため、フェミニズム運動がある。ジェンダーギャップはそう簡単にはなくならない。だとすれば、運動は広げていかねば。フェミニズムに興味がある人にもない人にも、女にも男にも。

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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