※写真はイメージです (c)朝日新聞社
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 健康のためには、ダイエットをして少しでも脂肪を落とさないと……そう思い込んでいないだろうか? 実は高齢者にとって、警戒すべきはメタボリックシンドロームよりもフレイル(虚弱)化だという考え方が広まりつつある。夏を乗り切るため、がっつり食べて健康になる秘訣を探った。

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 じめじめした梅雨に続き、間近に迫ってきた猛暑の季節。1年数カ月にもおよぶ新型コロナウイルスとの戦いで、ただでさえ外出時間や運動量が激減する生活を強いられてきたが、それがいっそう減る時期でもある。

 そこで心配されるのが、高齢者のフレイル(虚弱)化。この時期はせめてしっかり食べることで体を維持したい。

 一方、たくさん食べるとメタボになり、健康を害してしまうのでは……と思う人もいるだろう。だが近年、その常識が覆りつつある。

<「メタボ対策」からフレイル予防へ>

 ホームページ上に大きな見出しを立てて訴えているのは、東京都医師会。

<高齢期のBMI(体重と身長の関係から人の肥満度を示す自分の体格の指標)は、中年期以前とは異なり、少し高めの方が、栄養状態や総死亡率の統計からみてもちょうど良いことが分かってきました。「メタボ対策」から、しっかり食べて栄養状態を保つ「フレイル予防」に考え直してみましょう>

 と啓蒙している。

 同医師会の西田伸一理事が説明する。

「働く世代においては、生活習慣病予防の観点からメタボ対策はとても大切ですが、高齢者は違います。BMI、血圧、ヘモグロビンA1cなどの正常値は、現役世代とは変わってくるものです。でもそれがなかなか周知徹底できていないのが実情で、たとえば後期高齢者健診の数値を見て、『血糖値が高いからちょっとダイエットしないと』と考えることもあるようです。発想転換をしないといけない。高齢者本人だけでなく、子どもたちなど一緒に食事や世話をする方にも、わかってほしいですね」

 早くから同様の提唱を行っている自治体がある。兵庫県だ。同県健康増進課の担当者が語る。

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